
「描く」技術で世界を動かす——日本電子の技術者たちの挑戦
画像左から:
日本電子株式会社 人財本部 本部長:横山敏治氏
株式会社メイテックネクスト 日本電子社営業担当:関口拓
日本電子株式会社 SE事業部門 SEサービス本部 本部長:平原秀一氏
日本電子株式会社(以下、日本電子社)は、最先端の半導体製造装置、理科学機器、医用機器、産業機器などの製造・販売・保守を手がける企業です。
戦後間もない1949年に株式会社日本電子光学研究所として設立され、以降70年以上にわたり日本の科学技術の発展に貢献してきました。
現在では、130カ国以上で産業および科学技術の発展を支えるグローバル企業へと成長しています。
今回は半導体製造機器(Semiconductor Equipment)を扱うSE事業部門で、アフターサービスや技術サポートを担うSEサービス本部の本部長・平原秀一氏に、サービスエンジニアという職種の仕事内容、就職後のサポート体制、海外駐在のメリット、成長環境についてお話を伺いました。
また、人財本部 本部長・横山敏治氏には、日本電子社の沿革や強み、技術力についてお話をいただいています。
日々第一線で活躍されているお二人の声を通じて、日本電子社の魅力に迫ります
裁量ある仕事と豊富な経験が成長を後押しする職場

――これまでのご経歴を教えてください。
平原氏:
高校の進路指導の先生から「電子顕微鏡を作っている会社だ」と聞いて、面白そうなことをやっていると感じて入社しました。
入社後は約5年間、透過型電子顕微鏡(TEM)の製造現場において、生産品の最終調整から出荷工程までを担当。
その後は約4年半にわたりシドニーに駐在し、オーストラリア全土およびニュージーランドにおけるフィールドサービス業務を担当しました。
入社して5年で、英語も話せない中でオーストラリア駐在を任されたのは、当時としても非常に珍しく、大きな挑戦でした。
当初は透過型電子顕微鏡(TEM)を中心に業務を行っていましたが、現地法人の事業規模の縮小に伴い走査型電子顕微鏡(SEM)も担当領域に加わり、最終的にはTEMおよびSEMの両機種に対応できるようになりました。
1人で修理対応や顧客との交渉を行い、大変鍛えられた4年間でした。
帰国後はTEMの生産現場へ戻りましたが、その後、半導体製造機器の増産に伴い、SE事業部門へ異動、生産現場を経て、技術サポートを担うテクニカルサービス業務を担当。
現在は国内サービスが中心のフィールドサービス部門に所属しています。
この期間に、2年間の韓国単身赴任も経験させていただきました。
現在も各国への出張や最新機器への対応など、成長とやりがいを感じる場面に多く恵まれていますが、入社5年という若いうちから多くの経験やチャンスを与えてもらえたことに、大きな感謝を感じています。
その後も国際プロジェクトに携わる機会を多くいただき、成長とやりがいを実感しています。
横山氏:
私の入社のきっかけは、通っていた高校の近くに弊社があり、もともと社名を知っていたこと。
また、他の会社と比べて休みが多かったことも魅力に感じました。
他社の面接ではビジネスライクな雰囲気がありましたが、日本電子はアットホームな雰囲気で、ここで働いてみたいと思い、1990年に入社しました。
入社後は産業機器の営業を15年間務めた後、経営戦略室に異動。経営企画の仕事に携わり、創立60周年記念事業の推進責任者として、帝国ホテルでの記念イベントや社史の作成、公式OB会の立ち上げなどを行いました。
2009年からは総務本部で組合対応や福利厚生、労政グループの担当を務めた後、再び経営戦略室に戻り、秘書室で社長・会長のサポートを経験。
そして現在は人財本部に所属しています。
こうしたチャレンジの機会が多く与えられるのも、当社ならではの魅力だと思います。
世界最高を目指して──受け継がれる理念と技術力

――日本電子社の沿革や強みを教えてください。
横山氏:
創業者の風戸健二は「戦後日本の復興には科学の振興が不可欠である」との信念のもと、同じ志を持つ技術者たちと共に、電子顕微鏡の開発会社を立ち上げました。
「世界最高の技術をつくる」という目標に向かって技術者同士が切磋琢磨し、活発に議論を重ねてきた歴史が、現在の日本電子社の大きな強みである「技術力」につながっていると感じています。
また、社内では昔から上下関係に関係なく自由に意見を交わせる雰囲気があり、風通しの良い社風も当社の特長のひとつです。
平原氏:
技術的な強みとしては、当社が製造している「描画装置」が挙げられます。
半導体の製造に欠かせないこの装置で、スポットビーム型と可変成形ビーム型の両方を自社で供給できるのは、世界でも日本電子だけです。
これは、創業以来長年にわたって電子顕微鏡を作り続けてきたことで培われた、電子線の発生・制御技術の蓄積があるからこそ実現できています。
また、新たな取り組みとしては、IMS Nanofabrication社との協業で「マルチビーム描画装置」の製品化にも成功しています。
この装置では、矩形(くけい)ビームを150ミリの範囲に数億個単位で照射します。
スケール感を例えるなら、東京23区の広さにチロルチョコ1個サイズの1ショットを並べていくイメージ。
数億個ものチロルチョコを8時間ほどで並べ切り、しかも1個が半分でもずれれば不良品になるほど厳しい精度が要求されます。
技術革新の最前線に挑む、日々の研鑽と進化

――半導体業界ではどのようなトレンドがありますか?また、それに伴い、貴社の技術をどのように発展させているのでしょうか。
平原氏:
現在進んでいるスマートフォンの高機能化・小型化や、AI技術の実用化を支えているのが、まさに半導体技術です。
そして、その半導体製造を支えているのが半導体製造装置。最先端半導体を製造している多くの企業で、当社の半導体製造装置が使われています。
半導体業界は技術の進化サイクルが非常に速いため、常に先端を追い続ける姿勢が求められます。
だからこそ、より高精度な装置を実現するためにも、既存技術をさらに深掘りしつつ、新しい技術や考え方も積極的に取り入れることを大事にしています。
またサービス部門としても、装置の納品や導入後のサポートを万全に行えるよう、現場の技術力向上にも力を入れています。
お客様にとって信頼できるパートナーであり続けるために、日々の技術研鑽を大切にしています。
装置の“安定稼働”を守る、現場対応のプロフェッショナル

――貴社のサービスエンジニアの求人は、どのような役割を担うポジションなのでしょうか。
平原氏:
サービスエンジニアの主な業務は、客先での装置の据え付け工事(納入)、稼働状態の確認、定期メンテナンス、そしてトラブル対応です。
お客様の工場の“製造装置”なので、1分でも停止すれば大きな損失が発生します。
万一止まった際にはいち早く原因を特定し、復旧させて稼働状態に戻す、現場での技術サポートがサービスエンジニアの最重要ミッションです。
業務の中心は日本国内ですが、台湾、中国、韓国、アメリカ、ヨーロッパなど、海外への出張や駐在をお願いすることもあります。
実際にそこまでの体制は整っていませんが、装置1台の販売につきサービスエンジニア1人を送り出したいほど、現場での迅速な対応力が求められます。
ここ数年で装置の出荷台数が急増しているため、これらの装置をしっかりとサポートできる人材がますます求められている状況です。
成長を支える体制と、海外で広がる裁量と経験

――サービスエンジニアのポジションではどのような成長ができますか?また、サポート体制についても教えてください。
平原氏:
「社会に貢献したい」「最先端技術に触れたい」など、モチベーションはそれぞれ異なります。
そんな中、当社のサービスエンジニアの仕事は、ルーティンワークではなく、毎回異なる状況や対応を行うため、自分に合ったやりがいや成長機会を見つけやすい環境です。
また、毎年上司と一緒に目標を設定し、その達成度を振り返りながら次の目標を立てる仕組みがあるため、成長の方向性を見失うことがありません。
教育面では、現在進行形で業務マニュアルの整備を進めており、部署内にトレーニングセンターも設置しています。
ここでは実機を使ってのオペレーションが行えるほか、トレーニングメニューの整備も積極的に進めており、未経験者や中途入社の方でも安心してスキルを習得できる体制を整えています。
――サービスエンジニアの海外赴任には、どのようなメリットがありますか?
平原氏:
海外では少人数で業務を進めるため、自分の裁量が広がり、やりがいや達成感も大きくなります。
また準備からスケジューリング、現場での判断まで自分自身で組み立てて動く必要があるため、自立性やマネジメント力も自然と養われます。
もちろん、日本からの技術的なサポート体制も万全です。必要なときにはすぐに相談できる環境があります。
海外で暮らすことには不安も伴うでしょうが、福利厚生のサポートはしっかり整っています。社宅の提供、医療費の全額負担、出産費の補助、1年に1度の日本への一時帰国の補助など、充実した内容といえるでしょう。
また、海外で暮らすこと自体も、人生を彩る大きな経験となります。
異なる文化に触れることで視野が広がり、現地でしかできないことが体験できます。
駐在中のバケーションを使ってエアーズロックにいったり、ニュージーランドの島を一周したのは、私の人生の中でも非常に良い経験でした。

――貴社や事業部のカルチャー・風土について教えてください。
平原氏:
SE事業部には若手が多く、かつ全体の約40%が中途入社なので、途中から加わった方も馴染みやすい環境だと思います。
海外出張も5~6人のチームで行くことが多く、出張先で一緒に食事や観光を楽しむなど、上下の垣根がなく、風通しの良い雰囲気です。
横山氏:
当社では企業文化や風土の改善を目的とした組織「KF委員会」があります。
KFとは「企業」と「風土」の頭文字を取ったもの。
35歳前後の中堅社員約40名が各部署から選ばれ、2年間の任期で活動しています。
特徴的なのは、この委員会が経営陣ではなく現場の社員で構成されていることです。
当社の行動指針も、KF委員会の初代メンバーによって策定されました。
このような自発的な取り組みが根付いているのは、他社にはあまり見られない、当社ならではの文化だと思います。
自ら動き、楽しめる人が伸びる──日本電子で求められる人物像

――貴社に中途入社された方の中で、どのような方がご活躍されていますか?
平原氏:
基本的には「やる気のある方」が活躍している印象です。仕事の中で自分なりのモチベーションを自身のスキルの段階ごとに見つけ、それに向かって行動できる人が特に伸びます。
また当社の業務では、ナノオーダーの精度が求められるステージの整備など、非常に繊細な作業が発生します。
そのため、たとえば自動車・鉄道・航空機の整備士など、精密な作業に慣れている方はスムーズに適応される傾向があります。
実際に、そうした業界出身の方が最近も入社され、活躍されています。
細かい作業を苦にせず、むしろ楽しめる方、コツコツと取り組める方は、当社の業務にとても向いています。
「海外で生活したい」という意欲を持っている方も、技術をしっかり習得すれば、比較的早い段階で海外駐在のチャンスがあります。
経験やスキルにもよりますが、実際に入社から1年で海外駐在を果たした方もいらっしゃいます。
日本の技術を、世界へ。挑戦するエンジニアへのメッセージ

――最後に、エンジニアを目指す求職者の方へメッセージをお願いします。
平原氏:
ここ数年、受注は好調に推移しており、とくにアジア諸国やアメリカを中心とした海外市場への出荷が大きく伸びています。
そのような状況下で、装置を現地に納入し、安定稼働を支えるフィールドサービスエンジニアの役割は、ますます重要性を増しています。
世界に誇る日本の装置を現場で展開し、運用を支えていく経験は、エンジニアとしてのキャリアにおいても大きな成長につながるはずです。
「グローバルな舞台で活躍してみたい」「最先端のテクノロジーに触れてみたい」「日本の技術を世界に広めたい」「新しいことに挑戦してみたい」――
そんな思いを持っている方は、ぜひ日本電子に注目していただければと思います。
この記事の寄稿者
今回は70年以上の歴史を持つ日本電子社にお伺いをさせて頂きました。
創業から「世界最高の技術をつくる」という目標に向かって、社員全員が上下関係なく自由に意見を交わすなど風通しが良い環境があるからこそ、同社の大きな強みである「技術力」に繋がっているのだと再認識致しました。また、同社の半導体製造装置は世界各国で使用されており、受注台数も好調。この状況下で半導体製造装置の安定稼働をさせるためにもサービスエンジニアの方々が企業全体として重要な役割を担っていると再認識致しました。
風通しが良く、働きやすい環境を求めている方や最先端技術に触れたいと考えている方などは是非ご相談下さい!
記事内では記載することができなかった同社の魅力や特徴について詳しくお話させて頂きます!
- 山田伸子