
NECで描く、自分の強みを活かすキャリアと“防衛を支える”仕事の価値~統括部長様編
NEC(日本電気株式会社)は、120年以上にわたり、通信技術やAI、生体認証をはじめとしたテクノロジーを核に、社会を支える革新的なソリューションを提供しています。
その中で、ディフェンスソリューション統括部は、国家安全保障領域における防衛関連システムの設計、開発、運用を担っており、日本の安全と安心を守るプロジェクトに取り組んでいます。
今回は、新卒時から同社一筋で働き、ディフェンスソリューション統括部を率いる鹿内将志氏にお話を伺いました。
求める人材像や今後の展望についてお聞きしています。
風通しの良いチームの中で、新しい技術を駆使しながら働く鹿内様の言葉からは、日本の防衛を最前線で支える誇りと自信が感じられました。
インタビュイー:
鹿内将志(しかうち まさし)
エアロスペース・ナショナルセキュリティ・ビジネスユニット
ナショナルセキュリティ事業部門
ディフェンスソリューション統括部長
日本の防衛を支えるNECで培った技術と信頼の重み

――鹿内様がNECに入社した理由と経歴について教えてください。
鹿内氏:
大学時代は情報工学を専攻していたので、基本的にIT系の企業に進もうと考えていました。
ただ、大学時代に起きた9.11米国同時多発テロの影響が非常に印象的で、その頃から安全保障や防衛に強い関心を持つようになりました。
そんな中、NECが防衛関連の採用募集をしていることを知り、「これだ」と直感しました。
入社してからは、SEとして防衛省や自衛隊関連の大規模システムに関わるプロジェクトマネジメントの道を歩んできました。
その中で、4年ほど防衛事業を離れ、企画スタッフや海外向け事業など、職種も業界も違う業務に携わる経験をさせてもらいました。
当時は分からないことが多く苦労しましたが、新たな知識・スキルを得ることができましたし、何より今までと違う環境は気づきも多く、とても楽しかったです。
そのような経験を経て再び防衛事業に戻り、現在のポジションに至っています。
――NECで働いてよかった点はありますか。
鹿内氏:
NECは昔から防衛事業に深く関わってきた企業なので、様々な面でその歴史や恩恵を感じることが多いです。
先輩から後輩へと脈々と受け継がれてきた技術や知見、そしてお客様や関係会社との信頼関係もそうです。
自分だけの力ではなく、これまでの先輩方が築いてきた実績のおかげで仕事ができていると実感しますし、今度はそれを後輩たちに引き継いでいかなければならないと感じています。本当にありがたい環境だと思います。
NECが納入したシステムには50年以上動き続けているものもあります。
諸先輩方が「このシステムはどうあるべきか、今後どう発展させるべきか」と常に考え、築き上げてきたおかげで、豊富な業務ナレッジやドメイン知識が蓄積されています。
その結果、お客様にも非常に高い信頼をいただいています。
特に防衛省や自衛隊の幹部の方々は頻繁に異動がありますが、異動先でも「あの時のNECさんですね!」と声をかけていただくことが多いです。そうした経験も含めて、ありがたさを実感しています。
――達成感を感じるのはどのような時ですか。
鹿内氏:
現場でシステムを使っているお客様から直接評価をいただける時は、非常にやりがいを感じます。
特に、航空自衛隊のパイロットのように、前線で活躍されている方々から、領空侵犯などの緊迫した場面の話を聞くと、「自分たちが日本の防衛を支えている」という強い責任感や達成感を覚えます。
自衛隊向けのシステムには、「作戦系のシステム」と「日常業務系のシステム」がありますが、中でも作戦系のシステムは、非常に緊迫した状況での使用を想定しているため、ニーズを的確に把握し、迅速に対応することには、大きな責任感と難しさがあります。
ディフェンスソリューション統括部が担う防衛ITの現在と未来

――NECの中でのディフェンスソリューション統括部の位置付けを教えてください。
鹿内氏:
NECの防衛事業は、ナショナルセキュリティ事業部門が担っており、陸・海・空、宇宙空間およびサイバー空間において、最新のICT技術・製品開発を行っています。その配下にシステム開発に特化したエンジニア集団の統括部が4つあります。
部門全体で強みを持っているのは、センサー、ネットワーク、ITシステムの3つの領域です。
センサーでは、航空レーダーのように空を監視するものから、海の中を監視するソーナーのようなものまで幅広く扱っています。
ネットワークでは、陸上通信用の無線ネットワーク、衛星通信システムなど、さまざまな無線通信ネットワークをカバーしています。
ITシステムに関しては、ソフトウェア、ハードウェアを自社開発できる技術力に加え、市販品も組み合わせてトータルソリューションとして提供できるシステムインテグレーションに強みを持っています。
その中で、ディフェンスソリューション統括部が担当しているのはITシステムです。
特に他の統括部と違う点は、システムインテグレーションに特化していることです。
他の統括部は、大型レーダーや衛星、無線機などのハードを作っていますが、私たちはソフトウェア開発と市販品を組み合わせたトータルソリューションを中心に防衛事業を支えています。
――ディフェンスソリューション統括部の今後の戦略について、お伺いできますか。
鹿内氏:
日常業務系システムに関しては、昨今、防衛省の情報セキュリティの取り扱いに関する関心が高まっております。
また、日本全体の人口減少に伴い、自衛官の人数も減少している中で、いかに効率的に運用するかが大きな課題となっています。
作戦系のシステムに関しては、統合運用がますます進んでいく傾向にあります。
宇宙、サイバー、電磁波といった複数の領域を複合的に判断し、同時に対応しなければならない状況が増えています。
今年3月下旬には、防衛省の統合作戦司令部が新たに発足し、陸・海・空の統合運用がさらに進展しています。
他国のミサイルが発射される場所も、必ずしも陸上とは限りません。
海から発射されるかもしれないし、空からの可能性もあります。
状況の判断はより複雑になっていますが、そうした多様な領域を同時並行で分析し、司令官の意思決定を迅速かつ効率的にサポートするシステムの構築が今後ますます重要になってきます。
正確な情報を集約し、そこから「次に何が起きるか」を推測して指揮官に提示することで、的確に「では、この方針で進めよう」と判断できるような仕組みが求められています。
意思決定支援の高度化は、今後さらに進んでいくと思います。
こうした変化に対応するためには、事業部門の枠を超え、非防衛を含むNECの多様な事業ドメインをフル活用し、新たな価値創造を続けていくことが重要だと考えています。
――業界を取り巻く技術やトレンドはありますか。
鹿内氏:
AI関連の案件が非常に増えています。
先ほどお話しした業務効率化にも密接に関わってくるため、我々としても注力している重要な分野です。
今後は、AIが行政文書のフォーマット作成やテンプレートのチェックなど、日常業務の自動化に活用されるケースが増えていくでしょう。
さらに、作戦系のシステムでは、AIが司令官に対して「こういったオプションがあります」「こちらがおすすめです」といった形で意思決定をサポートする役割を果たせるようになることを想定しています。
AIがこのレベルまで進化すれば、まさに夢のような世界ですし、そこまで到達できれば大きな飛躍だと思います。
大規模システムを支える技術基盤と対話を重視する現場づくりの実践

――他社と比較して、NECの強みは何ですか。
鹿内氏:
NECの防衛分野における強みは、グラウンドデザイン力(アーキテクチャの設計・構築力)です。
防衛システムは、センサ、無線ネットワーク、ITシステムなど多様な技術要素を統合し、リアルタイムで最適な判断を支援する必要があります。
NECは、長年の経験で蓄積した業務知識と組み合わせのノウハウにより、現場のニーズに即したシステムを構築できる点で他社をリードしています。
さらに、世界水準の技術を生み出してきた研究所の存在も大きな強みです。
NECはシステム開発の豊富な経験を持ち、基礎研究を行う研究員と連携してシステムを構築できる体制を備えています。
これにより、最新技術を柔軟に取り入れたシステムの開発が可能です。
昨今のAIやセキュリティ技術はNECの研究所の強みでもあり、非防衛部門での実績もあります。
このように、NECは優れたプロジェクトマネジメント力、豊富な人員やアセット、そして業務知識の量と深さを兼ね備えているため、複雑な要素を適切に組み合わせ、システム全体を統合できる点も強みです。
これらの要素が相乗効果を生み、大規模システムの構築を可能にしています。
――ディフェンスソリューション統括部の風土について教えてください。
鹿内氏:
業務の内容を外部に話せないこともあり、外から見ると堅いイメージを持たれている部分はあると思います。
しかし、実際に入ってみると、システム開発において「絶対に上司に従え」といった体育会系の雰囲気はありません。
自分の意見があればきちんと言える環境が必要だと思っています。
私は、部内で「喋ったことがない人がいない」という状態を目指しています。
一度でも話したことがあれば、相手が会議で意見を言う必要がある時に、心理的なハードルが少し下がると思うからです。
私は「こうやるぞ、ついてこい」というタイプではなく、やりたいことを後押しするタイプです。
やりたいことがあれば遠慮せずに意見を挙げてもらって、「それはいいね、やろう」といった形で、誰もがやりたいことを言える組織にしていきたいと考えています。
――どのような教育体制がありますか。
鹿内氏:
共通的な知識については、資料や説明動画のコンテンツがかなり充実してきています。
また、自衛官OBの方も社内にいるため、様々な助言をいただくことで、実務に役立つサポートもできています。
加えて、プロジェクト固有の知識は現場で学ぶしかありませんが、教育マップを整備しており、上司と相談しながら必要な知識を選んで学んでいくという仕組みを用意しています。
防衛分野の最前線で、自分だけのキャリアを切り拓く

――入社したら、どのようなキャリアを描けるのか教えてください。
鹿内氏:
まずは自分にどの道が合っているのかを早く見つけてほしいと思っています。
ITインフラ系であれば、技術を極めてアーキテクト的な人材を目指す道がありますし、ソフトウェア開発系であれば、プロジェクトマネージャーとして成長したり、「この領域ならこの人に聞けば大丈夫」と周囲から頼られるスペシャリストになる道もあります。
それぞれの分野で自分の強みを見つけて磨いていくことで、多様なキャリアパスが描けます。
――エンジニアの方に向けたメッセージはありますか。
鹿内氏:
防衛や安全保障の分野に少しでも興味を持ってほしいと思っています。
この業界に関わる機会はなかなかありませんが、NECの防衛事業に携わる社員は、自分たちの業務に誇りを持ち、使命感を持って仕事に取り組んでいます。
社内の他部署の人と話すと、「防衛をやっている人は、自分の業務に誇りを持っているよね」と言われることが多いです。
私たちは普段意識していませんが、それだけ強い思いを持って取り組める仕事だということです。
業界に対する使命感を共有し、日本の安全と安心を一緒に守っていこうという志を持った方が加わってくれると、とても嬉しいですね。
この記事の寄稿者
~NEC担当営業より一言~
NECのディフェンスソリューション統括部へのインタビューを通じて、「技術の継承」と「使命感の共有」がこの部署に深く根付いていることを実感しました。50年以上にわたり運用されてきたシステムを支える高度な技術力と、先輩方から脈々と受け継がれてきた知見は、他社にはない大きな資産です。さらに、現場のお客様から直接信頼の声をいただける環境や、ユーザーの生の声を聞ける機会があることも、大きなやりがいにつながっています。加えて、最新技術やAIの活用に積極的に取り組む姿勢や、柔軟で風通しの良い組織風土は、エンジニアにとって大きな成長の機会となると感じました。このように、高い使命感と成長環境を兼ね備えた職場は非常に貴重であり、防衛という国家を支える重要な領域で、自分の技術を試し、磨いていきたいと考えるエンジニアにとって、最適なフィールドだと思います。
- 熊谷 英治