
世界とつながり、人と磨き合い、技術を拓く。富士フイルムが牽引する半導体材料の次なる革新
画像左から:
株式会社メイテックネクスト 富士フイルム社営業担当:武井友美(たけい ともみ)
富士フイルム株式会社 人事部 採用グループ マネージャー:澤田真(さわだ まこと)様
富士フイルム株式会社(以下、富士フイルム)は、1934年に写真フィルムメーカーとして創業し、現在では多様な事業領域でグローバルに展開しています。半導体材料の分野でも大きな存在感を示しており、国内外から注目を集めるリーディングカンパニーです。
今回は、エンジニアとしてキャリアをスタートさせ、現在は人事部採用グループのマネージャーとして活躍されている澤田 真氏に、ご自身のこれまでの経歴や、富士フイルムが半導体分野で持つ強み、求める人材像、そして同社で働くことの魅力について伺いました。
インタビュイー:
人事部 採用グループ マネージャー:澤田 真(さわだ まこと)様
材料開発から人材開発へ。エンジニアだからこそ見える技術者採用の本質

――まずはご経歴についてお聞かせください。
澤田氏:
私は化学系の修士課程を修了後、新卒で富士フイルムに入社しました。
入社当初は材料開発者としてキャリアをスタートさせ、その後、人事部へ異動しました。
エンジニアとしては約10年間、主に4つのテーマにわたり、BtoB向けの高機能材料の研究開発に取り組みました。代表的なプロダクトとしては、工業プロセスで使用される高耐久の粘着シートや、CO₂ガス分離膜などがあります。
年次を重ねるにつれて、開発リーダー的なポジションを担う機会も増えていきました。
そうした立場になると、プロジェクト全体を俯瞰しながら、製品の全体設計、特許戦略、コスト面、他社との折衝など、一技術者の枠にとどまらない視点が求められます。
製造、品質保証、事業戦略、知的財産といった他部門の担当者とも連携する機会が多く、自分の視野を大きく広げることができました。
このようなマネージャー的な役割を比較的早い段階から任せてくれる点は、富士フイルムならではの特徴だと感じており、自分を大きく成長させてくれたと実感しています。
――現在は人事部で採用担当をされていますが、異動の経緯について教えてください。
澤田氏:
人事の仕事について興味はあったのですが、予期せぬタイミングでの異動でした。
とはいえ、現場で培ったエンジニアとしての知見やマネジメント経験は、採用の場面でも大いに活かされています。
たとえば、エンジニアの視点から自社の事業について実感をもって学生に語ることができたり、応募者の伝えたいことや強みを汲み取りやすかったりする点ですね。
また、人事担当として応募書類の一次選考を行う際、専門職の採用において技術的な要件がどの程度満たされていれば現場で受け入れられるかを判断しやすいのは、エンジニアとしての経験を持っているおかげだと思っています。
実際、当社で技術系の採用を担当している人事担当者には、エンジニア出身者が多いんですよ。
写真フィルムで鍛えた技術で切り拓く、富士フイルムの半導体材料開発の歩み

――富士フイルムの半導体業界参入の経緯についてお聞かせください。
澤田氏:
富士フイルムが半導体事業に本格参入したのは、1983年にPhilip A. Hunt Chemical Corporationという米国の会社との合弁事業をきっかけとしています。
その後も、祖業の写真事業で培ってきたコア技術を武器に、M&Aも通じて成長してきたという歴史があります。
――半導体事業において、富士フイルム独自の強みはどこにありますか?
澤田氏:
富士フイルムの強みは、大きく3つあります。
1つ目は、強靭なサプライチェーンです。
当社は世界各地に生産・開発拠点を持っています。
近年では関税問題などサプライリスクが顕在化していますが、グローバルに生産・開発拠点を展開していることで、タイムリーな開発や供給を実現しています。
さらに、お客さま先にすぐに駆け付ける「地援」も徹底しており、お客さまの多様なニーズや課題を把握し各拠点で共有することで、グローバルな事業戦略の策定や安定した高品質な製品の供給につなげています。
2つ目は、幅広い製品群です。
当社は、半導体の前工程において必要とされるプロセス材料をほぼすべてラインアップしていて、その幅広さは業界でもトップクラスです。
幅広い製品を持つことで、お客さまの製造工程で不具合が見つかった際、連続する工程を俯瞰して原因を究明し、解決策を導き出すことにも貢献しており、前後の工程を含めてトータルにアプローチできるのも大きな利点です。
3つ目は、高い技術力とそのバリエーションです。
当社では、最先端半導体に用いられる材料を手掛けていて、高い技術レベルを有しています。
半導体の性能を左右する回路パターンの微細化の実現には、回路パターンの形成に用いられる材料「フォトレジスト」の性能や、フォトレジストを用いる工程で生じる欠陥の精緻なレベルでの検知能力がカギになり、難度の高い課題解決を推進しています。
その中で、既存材料の配合だけではなく、写真フィルムで培ったコア技術である有機合成力を武器に新規化合物の設計から取り組むことができるのは大きな強みです。
特に有機合成に関しては、国内トップクラスの技術力を有していると自負しています。
加えて、開発部門、有機合成部門、解析部門、インフォマティクス部門など、機能ごとに明確な役割分担を行いながらも、部門横断で連携し合い、課題解決に取り組む風土があります。こうした協業体制も、富士フイルムならではの強みです。
富士フイルムグループの技術を結集し、新規先端パッケージ材料の開発に挑戦―富士フイルムの成長戦略

―変化の激しい半導体業界の今後をどのように捉えていらっしゃいますか。その中での御社の取り組みについて教えてください。
澤田氏:
富士フイルムでは、2030年までに半導体領域において売上5,000億円を達成するという大きな目標を掲げています。今後も目標に向けて、積極的な設備投資によるサプライチェーンの強靭化などを進めていきます。
半導体の性能向上を実現する手段として、従来は「前工程」における、回路パターンの微細化が重視されてきましたが、微細化の物理的な限界が近づく中、複数の半導体ダイ(半導体チップ)を組み合わせ、パッケージ化して高性能化する「後工程」での技術への注目が高まっています。こうした中、難度が高い「前工程」で培ってきた技術力を生かし、後工程向けの材料開発にも注力していきます。
富士フイルムは、半導体製造プロセスにおける幅広い製品ラインナップを有しており、それぞれの分野における技術・ノウハウを蓄積しています。
加えて、半導体の関連事業以外にも幅広い事業・研究部門があるため、前述した有機合成部門、解析部門、インフォマティクス部門等との協業体制含め、多岐にわたる最先端の技術を活用できる研究環境は他社に負けない大きな強みだと考えています。
富士フイルムグループとしての多様な技術アセットを集結し、半導体材料事業における先端領域で確固たるポジションを築いていくことを目指しています。
技術者の枠を越える経験が、開発者としての成長を引き出す

―富士フイルムで働くことの面白さややりがいについて、どのように感じていますか。
澤田氏:
富士フイルムで働く面白さは、グローバルな環境の中で多様な人々と交流しながら、先端技術の開発に携われることにあります。
自分が手がけた材料が、スマートフォンや自動車、家電などの身近な製品につながっていくのを見ると、開発者として非常に大きなやりがいを感じます。
最先端の技術によるブレイクスルーに魅力を感じる方にとっては、非常に適した環境だと思います。
一方で、仕事の進め方という点では、他部門との連携や顧客とのやりとりなど、対人スキルが求められる場面も多くあります。
ですので、一人で黙々と研究を進めるというよりも、「他者と協働しながら、多岐にわたる技術アセットを活かして単独では実現できないことに挑む」という働き方が求められます。
そうした仕事の幅広さや、いわゆる技術者の枠を超えて多様なことに関われる点を面白いと感じてもらえたら嬉しいですね。総じて、先端技術に携わりたい開発者にとって、富士フイルムは非常に刺激的で成長できる環境だと感じています。
「オープン・フェア・クリア」先端技術を育む、富士フイルムのカルチャー

――御社の風土やカルチャーについて教えてください。
澤田氏:
私自身も好きな表現ですが、富士フイルムのカルチャーを一言で表すならば「オープン・フェア・クリア」です。それは縦割り感なく、自由に意見を交換できる風通しの良い組織であるということを意味しています。
「技術の前には上司も部下もない」というのは、技術者の間でよく語られる言葉ですが、当社にはその精神が根付いています。
正しい疑問や課題に対しては、立場に関係なくフラットに議論できる文化があります。実際に、現場の若手社員からも「富士フイルムは上下関係に縛られず、技術の本質に集中できる」といった声を聞くことが多いです。役職や出身大学などに関係なく、誰もがオープンに本質的な議論に集中できる環境が整っています。
また、当社では「謙虚に学び続ける姿勢」も大切にしています。「オープン・フェア・クリア」は、単に自分の意見に固執するだけでは成り立ちません。
他者の意見に耳を傾け、柔軟に取り入れられる人が、当社のカルチャーにフィットします。むしろ、そういった人たちが集まっているからこそ、多様な技術アセットを組み合わせ、先端技術の開発につなげることができているのだと感じます。
――御社でご活躍されているエンジニアには、どのような特徴がありますか?
澤田氏:
一般的にはPDCAがよく知られた思考フォーマットですが、富士フイルムでは「STPD(See・Think・Plan・Do)」という考え方を大事にしています。Check(評価)やAct(改善)は前提として、まず情報を集める(See)、そして何が本質的なブレイクスルーポイントかを考える(Think)というプロセスを重視しているのです。
当社で活躍しているエンジニアたちも、この考え方を自然に実践していることが多いです。新しく入社された方にとっては、前職との違いに戸惑う部分もあるかもしれませんが、そうしたときこそ、周囲とのコミュニケーションを大切にし、自ら積極的に情報を取りに行く姿勢が重要であり、それが、活躍の第一歩だと思います。
また、半導体業界に関する一定の知見も求められますが、現在の半導体業界は非常に広がりのあるフィールドです。実際、当社のエンジニアの中には化学メーカー出身の方だけでなく、電池やデバイス関連から半導体分野に関わるようになった方もいます。
自身の強みや専門性を活かしながら、新しい情報を柔軟に吸収し、技術の幅を広げていける方は、バックグラウンドに関わらず幅広く活躍してくれています。
「謙虚な挑戦者」が集う場所―富士フイルムの技術者像

――面接で特に重視しているポイントを教えてください。
澤田氏:
面接では私も人事面接官として担当しているのですが、スキル以外の部分で重視しているポイントとしては、軸・芯を持ちながらも柔軟に考えられる、バランス感覚です。
技術者として活躍していくには、自分なりの意志や考え方、そして武器となる専門性が不可欠です。
そのため、自分の考えや強みを持ちつつも、一方で、それに固執するのではなく、周囲から学びながら幅を広げていけるような謙虚な姿勢は、当社で活躍・成長するうえでは必要な素養と捉えており重視しています。
また、自身の経験をしっかりと言語化できるかどうかも重要と考えています。
過去の経験のなかで、どのように課題に向き合い、どんな情報を集め、本質的なアプローチができていたか。
ちなみに、「本質は何か?」という問いは、富士フイルムの中でもよく使われる言葉です。
課題の本質を問い続け、自分自身が納得したうえで取り組んでいるかどうかは重要と捉えています。
さらに、業務経験を語る中で、自然と第三者が登場してくるかどうかにも注目しています。
つまり、自分自身のアスピレーションを持ちつつ、周囲をどう巻き込み、どのように関係性を築いてきたか。
そうしたストーリーが自然に表れている方には、当社に入社いただけた際にも活躍できるだろうなと感じます。
技術・人・顧客―そのすべてと向き合い、自分を更新し続ける仕事

――最後に、エンジニアを志望する方へメッセージをお願いします。
澤田氏:
半導体は業界全体で見ても、将来性のある面白い市場です。
その中でも富士フイルムは、開発者としての成長はもちろん、さまざまな仕事や人との関わりの中で多くの刺激を得られる環境です。
大変なことも多いですが、振り返ったときに成長の実感が強い、やりがいある仕事ですので、ぜひご注目いただけたらと思います。
また、面接では私も担当させて頂きますので、皆様と直接お会いできることを楽しみにしております!
この記事の寄稿者
今回は、写真フィルムメーカーとして創業し、現在では多様な事業領域でグローバルに展開をしている富士フイルム社にお伺いをさせて頂きました。
「写真フィルムの技術」からスタートし、現在では半導体業界でも大きな存在感がある同社ですが、「オープン・フェア・クリア」のカルチャーや「STPD」の考え方が技術者の成長を促し、より良い製品を生み出していると感じました。
ご自身の強みは活かしながら、技術の幅を広げていきたい方や周囲とコミュニケーションをとり、お互いに高めあいながら成長していきたい社員の集まりだからこそだと思います。
実際に面接も担当している澤田様に面接で重要視している観点もお伺いしておりますので、面談時には記事では掲載しきれなかった情報もお伝えさせて頂きます。同社に少しでも興味がございましたら、お気軽にご相談下さい!
- 畑中鴻希