製造業・メーカー・ITのエンジニア転職ならMEITEC NEXT

素材メーカーとは?職種や仕事内容、化学メーカーとの違いを解説

素材メーカーとは?職種や仕事内容、化学メーカーとの違いを解説

素材メーカーは、金属、樹脂、化学素材、繊維など、さまざまな製品に使われる素材を開発・供給し、日本の経済や産業の発展に大きく貢献しています。

本記事では、素材メーカーの職種や仕事内容、化学メーカーとの違い、各業界の動向、向いている人の特徴を解説します。

素材メーカーへの転職を検討している方は、ぜひご覧ください。

素材メーカーとは、化学素材、樹脂、金属、繊維など、多種多様な素材を開発・供給する企業を指します。

素材メーカーは、高度な研究開発技術を駆使して、高品質かつ高性能な素材を生み出しており、その成果は自動車、電機、建設、繊維など幅広い業界で活用されています。


素材メーカーの取引先の多くは企業であり、一般消費者と直接取り引きを行うことはほとんどありません。

例えば、自動車業界においては、耐久性や軽量化を重視した素材が求められ、建設業界では、耐火性や断熱性能に優れた素材が欠かせません。

このように、製造業における製品の品質や機能は、素材の選定や性能に大きく依存しており、素材メーカーはまさにものづくりの根幹を支える重要な存在です。

素材メーカーと化学メーカーの違い


素材メーカーと化学メーカーはしばしば混同されがちです。

素材メーカーは、樹脂、金属、繊維などの幅広い素材を製造し、さまざまな産業へ提供する企業です。

一方、化学メーカーは、化学反応を活用して化学製品や化学素材を開発・製造することに特化している企業を指します。


ただし、両者の定義に明確な区分が存在するわけではありません。

化学メーカーが素材メーカーの一部として位置づけられる場合もあります。

また、素材メーカーの中には化学素材を取り扱う企業も多く存在するため、両者の業務範囲が重なることがあり、結果として違いが曖昧になることがあります。

このような背景から、両者が同一視されることもあるのが現状です。

素材メーカーの職種と仕事内容

素材メーカーの職種と仕事内容

生産技術

生産技術は、素材を効率的かつ安全に生産するための製造ラインの設計・改善を担当する職種です。

主な業務内容には、製造ラインの構築、設備の導入、生産性向上に向けた改善活動などが含まれます。

製造ラインの構築では、品質を維持しながら効率的に量産できる体制を整えるため、作業員の配置や設備のレイアウトを考慮し、設計図を作成することが肝心です。

また、新規設備の導入や既存設備の更新時には、仕様の決定から導入までを一貫して担当します。

さらに、稼働中のラインにおいても、作業手順や動線の見直しを行い、生産性の向上とコスト削減を図ります。

このように、生産技術は製造工程全体を支え、安定した量産体制の実現に欠かせない存在です。


生産管理

生産管理は、素材の製造に関わる全体的な業務を統括する職種です。

主な業務内容は、生産計画の立案とその実行および監督を通じ、納期の遵守や生産効率の向上を図ることにあります。

具体的には、原材料の調達から生産工程の管理、在庫管理、品質管理に至るまで、幅広い業務を担います。

生産管理職の主要な目標は、品質・原価・納期の最適化、いわゆるQCDのバランスを取ることです。

これにより、高品質な製品を低コストかつ短納期で安定的に提供する体制を構築します。

また、生産現場で発生する突発的なトラブルにも柔軟かつ迅速に対応し、安定した生産活動を維持することが求められます。

研究開発(R&D)

素材メーカーでは、顧客のニーズや市場動向を的確に把握し、それを製品開発へと反映させることが求められます。

研究開発(R&D)は、企業の競争力を強化する重要な役割を担っており、製品の革新や技術向上に直結する職種です。

具体的には、新しい素材の開発や既存素材の改良を通じて、より優れた機能性や耐久性などを備えた製品を生み出します。これにより、顧客の多様なニーズに応え、新たな市場価値を創造することに寄与します。


営業職

営業職は、自社が製造する素材をさまざまな業界へ販売する重要な役割を担います。

顧客のニーズを的確に把握し、最適な素材を提案することに加え、技術部門と連携して顧客への技術サポートも行います。新規顧客の開拓だけでなく、既存取引先と長期的な信頼関係を築くことも大切な業務です。

営業職は単に売り上げ向上を目指すだけでなく、顧客の要望に応じた製品のカスタマイズや新製品の開発にも関与し、会社と顧客をつなぐ重要な橋渡し役を果たしています。

素材メーカーの主な業界と動向

素材メーカーの主な業界と動向

素材メーカーはさまざまな業界にまたがり、それぞれの分野で重要な役割を果たしています。

以下では、素材メーカーの主な業界の特徴とその動向について解説します。


化学業界

化学業界は、非金属原料を基にさまざまな製品を生産する業界です。

基礎化学製品から機能性化学製品まで、幅広い製品群を提供しており、製品を通じて多様な産業を支える重要な役割を担っています。


近年の動向として、グローバル市場での競争力を強化するため、日本の化学メーカーは海外展開を積極的に進めています。

革新的な技術開発と環境への配慮が求められる時代となり、持続可能な成長を実現するための取り組みが業界全体で進行しています。


特に、環境負荷の低減と高機能性を両立させる新素材の開発が加速しており、脱炭素化や再生可能エネルギーの活用が重要な課題として注目されています。


繊維業界

繊維業界は、天然繊維から合成繊維、高機能繊維まで、多様なニーズに対応しています。特に、日本企業の多くは高機能繊維の開発に注力しており、航空機向けの炭素繊維などの高付加価値製品を積極的に開発しています。

国内市場は近年縮小傾向です。海外から安価な化学繊維が流入する中で、繊維技術を応用し、IT分野や非繊維事業へとシフトする企業も増加しており、事業の多角化が進展しています。一方で、海外市場の開拓に向けて積極的な輸出を行う企業も多く見られます。


ガラス業界

ガラス業界は、珪砂、ソーダ灰、石灰石といった天然原料を加工し、さまざまなガラス製品を製造しています。

建築、自動車、モニターなど、多岐にわたる産業へ製品を提供しており、社会のさまざまな分野で重要な役割を果たしています。

特に近年では、スマートフォンやタブレットといったデジタルデバイス向けのガラス需要が増加しており、これが業績回復の要因です。

また、新興国の経済成長に伴い、今後もガラスの需要拡大が期待され、グローバル展開が一層加速しています。


さらに、自動車やデジタル家電向け分野においても技術革新が進み、高機能ガラスの開発が進展中です。

一方、液晶用ガラス市場では、中国企業との価格競争が激化しており、日本企業にはさらなる付加価値の高い製品開発が求められています。ガラス業界は今後も技術革新と新商品開発を通じて成長が見込まれています。

ゴム業界

ゴム業界は、天然ゴムや合成ゴムを製造する業界です。

自動車部品や産業用ホース、履物など幅広い分野で使用されており、その耐久性や柔軟性が重要視されています。


なかでも、自動車タイヤの売り上げに大きく依存していますが、自動車メーカーによる部品調達費削減の動きに対応するため、工業用ゴムメーカーは販路拡大や技術開発を通じたコストダウンに取り組んでいます。

近年では、食品業界向けのベルトコンベアなど、新たな分野での需要が増加中です。また、環境に配慮した製品や高機能ゴムへの需要も高まっています。


一方で、ポリマーやプラスチックといった代替素材との競争が激化しており、ゴム市場にも影響を与えています。

今後は、合成ゴムの需要拡大が市場成長をけん引する一方で、天然ゴムの需要も引き続き堅調に推移する見通しです。

製紙・パルプ業界

製紙・パルプ業界は、出版物や梱包材など、日常生活に欠かせない製品を提供しています。

また、環境への配慮としてバイオエタノールの生産に取り組むとともに、古紙リサイクル率の向上にも力を入れています。

しかし、デジタル化やペーパーレス化の進展により、国内における紙需要は減少傾向です。特に、新聞や印刷用紙の需要が著しく減少しています。

一方で、eコマースの拡大に伴い、段ボール原紙の需要は安定しており、業界の支えです。そのため、今後の業界成長のカギを握るのは、海外市場の開拓だと考えられています。


半導体材料業界

半導体材料業界は、半導体製造に必要なウェーハや原板、組立工程で使用される固定材料などを供給しており、半導体の高性能化を支える重要な役割を果たしています。

これらの高品質な材料が、半導体製品の機能や性能を大きく左右しているため、素材メーカーとして欠かせない存在です。

AI機器やデータセンターの普及に伴い、半導体材料市場の規模は急速に拡大しています。

調査会社・富士経済の報告によれば、2024年の半導体材料市場は約470億ドル規模に達しました。

今後も半導体需要の増加を背景に、工場の新設や製造工程の複雑化が進むことが予想されており、それに伴い材料の高機能化がさらなる成長を後押しすると考えられています。


鉄鋼業界

鉄鋼業界は、鉄鉱石や鉄くずを原料として鋼鉄を製造し、自動車、建築、インフラなどの基幹産業に素材を供給しています。

国内では、都市再開発やインフラ復旧に伴い、需要が増加傾向です。

世界的にも鉄鋼需要は拡大しており、日本企業は海外展開を強化しています。


しかし、近年では原料費の高騰により、適切な鋼材価格の設定が課題です。

また、中国をはじめとする海外企業の台頭も懸念事項とされています。その中で、国内鉄鋼メーカーは技術革新と構造改革を進める一方、品質向上に努めることで堅調な業績を維持しています。


非鉄金属業界

非鉄金属業界は、アルミニウムや銅などの鉄以外の金属を生産・加工しており、主に自動車、家電、インフラ、宇宙分野、最先端技術分野で広く活用されています。特に、車載用電池や電機関連部品向けの需要が拡大しており、業界の成長をけん引する要因です。

現在、生産指数は高水準で横ばい状態が続いていますが、ITやデジタル技術の進展により、今後さらなる需要増加が期待されています。

一方で、世界情勢や資源価格の変動、景気後退リスクが業界に与える影響も無視できず、先行きには不透明感が残ります。

素材メーカーに向いている人

素材メーカーに向いている人

ものづくりに関心が高い人

素材メーカーは、生活を支えるさまざまな製品の基盤となる素材を開発・製造している企業です。

素材の特性を最大限に活かし、産業の発展や人々の生活を支えています。

そのため、ものづくりに対して強い興味や情熱を持つ人は、素材メーカーで活躍する素地があります。

特に、新素材の開発や既存素材の改良を通じて、製品の可能性を広げることに意欲を感じられる人には最適です。

また、自社製品に愛着を持ち、品質や性能にこだわる姿勢は、営業職や開発職との連携を円滑にし、顧客のニーズを的確に捉える力にもつながります。

ものづくりに対する情熱が、新製品の誕生や技術的な課題解決を促進し、ひいては自身の成長にもつながるでしょう。

コミュニケーションスキルが高い人

素材メーカーでは、営業、生産技術、研究開発といった各部門の連携が欠かせません。

素材メーカーで活躍するためには、周囲との円滑な意思疎通を図る力が重要です。

素材メーカーの主な取り引き形態は企業を相手とするBtoBビジネスです。

顧客との信頼関係を築き、それを長期的な取り引きへと結びつけることが求められます。

特に営業職では、顧客の要望を正確に把握し、それを社内の技術部門や生産部門に適切に伝える能力が必要不可欠です。


また、研究開発職では、複数の関係者と密接に連携しながらプロジェクトを進める場面が多いため、チームでの協働が成果を上げるカギです。

孤立して作業を進めるだけでは成果を出すことが難しく、柔軟かつ積極的にコミュニケーションを取る姿勢が求められます。


さらに、グローバル展開を進める企業の場合、異文化理解や語学力といったスキルも重要です。

グローバルに活躍したい人

グローバル企業と言えば商社や貿易会社が注目されがちですが、日本の素材メーカーも世界で活躍する魅力的な選択肢です。

日本の素材はその品質の高さから世界中で評価されており、海外市場での需要は年々拡大しています。


海外での活躍を目指す人にとって、素材メーカーは非常におすすめの業界です。

現在、多くの素材メーカーが世界規模で事業展開を進めており、海外の顧客や現地法人とのやり取りを通じて語学力や異文化理解力を活かす機会が豊富にあります。

さらに、新素材の研究開発や技術革新を通じて国際市場で競争力を高める取り組みが進んでおり、海外で活躍する場が一層広がっています。

特に、英語力だけでなく、専門的な技術力や挑戦する姿勢を持つ人材は、素材メーカーでグローバルなキャリアを築く上で非常に有利です。

こうしたスキルを活かして、世界での活躍を目指してみるのはいかがでしょうか。

素材メーカーの平均年収

素材メーカーの平均年収

国税庁の「令和5年分 民間給与実態統計調査」によると、2023年の給与所得者全体の平均年収は約460万円でした。

一方、素材メーカーが属する製造業の平均年収は約533.2万円と、全体平均を上回っています。

これは、専門性の高い技術職が多く、製造工程や研究開発に携わる職種が多いためと考えられます。

素材メーカーへの転職なら「メイテックネクスト」

素材メーカーへの転職なら「メイテックネクスト」

素材メーカーへの転職を考えている方には、転職エージェントの弊社「メイテックネクスト」の活用もおすすめです。

業界に精通したキャリアコンサルタントが在籍しており、経験や希望に合った最適な求人を提案させて頂きます。

また、化学業界出身のコンサルタントや化学業界専任のコンサルタントが在籍しているのも特徴です。

業界出身・専任のコンサルタントだからこそ、貴方様の技術を深く理解した上で、貴方様に最も合う求人をご提案させて頂きます。

少しでも弊社の活用にもご興味がございましたら、お気軽にご相談下さい!

この記事の寄稿者

素材メーカーは、化学素材や樹脂、金属などを製造・提供し、製品の品質や機能に大きな影響を与えます。

主な職種には、生産技術、生産管理、研究開発、営業などがあり、専門知識や技術力に加えて、高いコミュニケーション能力やグローバルな視点が求められます。

転職を目指す方は、自身の強みを活かしつつ、新たなキャリアに挑戦してみましょう。

江部力彦
江部力彦

このコンサルタントに相談してみる