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半導体エンジニアになるには?仕事内容・スキル・将来性を紹介

半導体エンジニアになるには?仕事内容・スキル・将来性を紹介

半導体はスマートフォンや自動車、AI技術などに欠かせません。

半導体エンジニアは技術革新の最前線で活躍しており、社会のさまざまな分野を支える存在として注目され、年々需要が高まっています。

この記事では、半導体エンジニアの仕事内容や年収、必要なスキル、取得しておくと役立つ資格、さらに将来のキャリアパスまで、わかりやすく紹介します。

半導体エンジニアとは

半導体エンジニアとは

スマートフォンや自動車、AI技術など、現代社会の便利な生活を支える多くの製品には、半導体が欠かせません。

そして、その半導体の設計や開発、製造などを担っているのが半導体エンジニアです。


半導体とは、電気をよく通す金属と、まったく通さない絶縁体の中間程度の性質を持つ素材であり、製品の「頭脳」ともいえる集積回路(IC:Integrated Circuit)などに使われています。

近年、AIやIoT(モノのインターネット)の普及や、自動車の電子化などにより、半導体の需要は急激に増えています。

それにともない、専門的な知識や技術を持つエンジニアの注目度も一層高まっているといえるでしょう。

半導体エンジニアは、技術の最先端で活躍できる、将来性豊かな魅力的な職業です。

半導体エンジニアの年収

半導体エンジニアの年収

高度な専門知識と優れた技術力が求められる半導体エンジニアは、給与水準が高い職種です。

厚生労働省の統計(job tag)によれば、半導体エンジニアの平均年収は約775万円で、日本の全体平均である478万円を大きく上回っています。


この背景には、半導体分野が精密さや革新性を強く求められる領域であることや、国際的にも競争力の高い人材が求められていることなどがあります。


一方で、年収には幅があり、経験年数や専門分野によって大きな差が出ます。

高収入を目指すには、自らのスキルを継続的に高め、最新の技術トレンドを積極的に学び続けることが求められます。

半導体エンジニアの仕事内容

半導体エンジニアの仕事内容

半導体と一口に言っても、実際には設計・開発、製造、品質管理、研究開発など、さまざまな工程に分かれています。

ここでは、それぞれの仕事内容について説明します。


設計・開発

半導体エンジニアの設計や開発の仕事は、製品の「頭脳」ともいわれる集積回路を作ることから始まります。

まず、顧客の要望や仕様書に基づき、論理設計で回路の動作を決定します。

次に、回路設計で必要な部品や素子を選定し、その後レイアウト設計において、シリコン上に部品をどのように配置するかを決定します。

チップは数mmという非常に小さなサイズに多くの機能を搭載する必要があるため、高度な技術力と精密な工程管理が不可欠です。

製品の性能や信頼性、コストに大きく関わる重要な役割を担います。


製造

製造工程は、「回路を作る前工程」と「チップとして製品化し、検査を行う後工程」とに大きく分けられます。

前工程では、シリコンウエハーと呼ばれる基板の上に、非常に微細な回路を形成します。

続いて後工程では、このウエハーからひとつひとつのチップを切り出し、さまざまなテストを経て製品化します。

これらの作業は、手術室以上に清浄さが保たれたクリーンルーム内で行われ、ナノメートル(10億分の1メートル)単位の精度が要求される最新の装置が使用されます。このように、非常に高度な環境と技術が、高性能な半導体を生み出す土台となっています。


品質管理

品質管理は、製品が設計通りに正しく動作し、長期間にわたって安定して使用できるかどうかを確認するための大事な工程です。

試作段階では性能を評価するだけでなく、温度や湿度、耐圧など、さまざまな環境変化に対する耐性も調査します。

さらに、歩留まり(合格品の割合)の向上や故障発生時の原因分析を通じて、製造工程の改善や最適化にも取り組んでいます。

こうした試みにより、量産体制の構築にも貢献しています。


研究開発

研究開発は、将来の半導体技術や新素材の可能性を切り拓くなどの役割を担います。設計・開発が実際の使用を念頭に進められるのに対し、研究職は理論や基礎技術の探究を重視しており、その成果が形となって現れるまでには長い時間を要することも少なくありません。

また、物性解析や新素材の評価など、地道な努力を積み重ねていくなかで、次世代の技術革新を支える基盤を築くことが大きな特徴のひとつです。

半導体製造の各工程を担う職種と役割

半導体製造の各工程を担う職種と役割

半導体が完成するまでには、多くの専門職が携わっており、それぞれが高い精度で工程を連携させて製造を進めています。

ここでは、各工程を支える4つの代表的な職種と、その具体的な役割について紹介します。

企業ごとに職種の呼び方や担当する範囲が異なる場合があります。


プロセスエンジニア

プロセスエンジニアは、成膜、露光、エッチングなどの各工程を中心に、製造プロセスの設計や改善を担う専門職です。

主な役割は、生産効率や歩留まりの向上を目指すことです。

そのため、各部署と連携して現場で発生する課題を発見・検証し、最適な工程づくりを進めます。

また、現場でのトラブル対応や作業環境の整備にも積極的に取り組み、安定して高品質な製品を生産する中心的な役割を担っています。


製品開発エンジニア

製品開発エンジニアの役割は、設計図を実際に量産可能な製品として具現化することです。

そのため、設計・製造・テストなどの各部門と密接に連携しながら、仕様と現場のギャップを埋めていきます。

さらに、品質・コスト・生産性のバランスを考え、最適なものづくりを目指します。

技術と現場をつなぐ架け橋として、製品を社会に送り出すうえで欠かせない存在です。


テストエンジニア

テストエンジニアは、仕様の策定から運用まで幅広い工程に携わり、動作確認のためのテスト設計を担当します。

また、テスト計画の立案から実施、結果の分析までを一貫して担い、バグの発見や改善案の提案も行います。

こうした業務を通じて、品質管理の中心的な役割を果たし、開発を支えているのが特徴です。

テストエンジニアは、単なるチェック作業を行うだけの存在ではありません。

製品の信頼性を高めるための戦略的な視点を持ち、製品の質を左右する重要な役割を担っています。


設備エンジニア

設備エンジニアは、製造装置の導入から保守・点検、さらには故障対応まで幅広く担当し、生産ラインの安定稼働を支える大事な役割を担っています。彼らは、予防保全や予知保全、事後保全といった手法を活用し、トラブルの発生を未然に防ぐとともに、装置の停止による損失を防ぐ工夫をしています。

なかでも予防保全では、装置の使用時間や状態に応じて計画的にメンテナンスを実施することで、装置の寿命を延ばしつつ生産効率を高められます。このように、設備エンジニアは現場から信頼される縁の下の力持ちとして活躍しています。

半導体エンジニアに必要なスキル

半導体エンジニアに必要なスキル

半導体エンジニアとして活躍するためには、高度な専門知識に加えて、チームで成果を上げるための柔軟な対応力も欠かせません。

ここでは、設計や製造の現場で求められる技術的なハードスキルと、円滑なチームワークを支えるコミュニケーション能力などのソフトスキルについて紹介します。


電気工学などの専門知識

半導体分野で活躍するためには、電気電子工学に加え、物理学や材料科学、さらに量子力学や熱力学など、幅広い理系の知識が求められます。 特に、半導体物理や微細加工を含むプロセス技術の理解は欠かせません。  

また、電子回路の設計方法やICチップの内部レイアウト構造に精通することで、製品の性能や信頼性をさらに高める設計が可能となります。


英語力

半導体分野の技術者にとって、英語力は大きな強みになります。

例えば、海外製の装置のマニュアルや英語で書かれた論文を読むことは、最新技術を理解するうえで不可欠です。

また、海外にある拠点とのやり取りや外資系企業との共同開発の場面では、技術文献を読んだり技術について英語で話し合ったりすることが日常的に求められます。企業によっては、英語力がグローバルな現場で信頼を得て、優れた成果を上げる重要な要素となる場合があります。


コミュニケーション能力

半導体の生産には、設計や製造、営業など、さまざまな職種が関わります。

そのため、技術的な内容を専門外の方にもわかりやすく平易な言葉で伝えたり、進捗や課題を正確に共有したりする力が求められます。

さらに、報告・相談・議論を適切に行うコミュニケーション能力は、信頼関係を築き、プロジェクトの成功につながります。


問題解決能力

設計や製造を行うなかで、思いがけないトラブルが発生することもあります。こうした問題に迅速かつ正確に対応するためには、膨大なデータを基に原因を論理的に分析し、再発防止や性能向上につながる解決策を考える力が非常に大切です。

例えば、不良品の傾向を分析したり、工程を最適な状態に調整したりする場合、現場での的確な判断力や分析力が成果に大きく影響します。

半導体エンジニアに役立つ資格

半導体エンジニアに役立つ資格

半導体エンジニアになるために資格は必須ではありません。

しかし、資格は専門知識を有すること、学ぶ意欲があることを示せます。ここでは半導体分野で役立つ主な資格について解説します。


半導体技術者検定

半導体技術者検定は、AIや自動車、IoTなど、多様な業界で求められる半導体の知識を証明できる専門資格です。

試験は4級から1級までの段階に分かれており、基礎知識から応用、設計、製造、品質管理、電力制御など、幅広い分野を網羅しています。

この検定は、学生から現役エンジニアまで、それぞれの目的に応じて学ぶことでスキルの証明が可能です。

技術革新を支える人材育成の指針として、多くの業界から注目を集めています。


参照元:SECC 半導体技術者検定

(https://www.secc.pdea.jp/)


半導体製品製造技能士

半導体製品製造技能士は、精密な製造技術が国によって認められた国家資格です。

この資格は技能検定制度に基づいており、実技試験と学科試験の両方によって、専門知識や作業能力が評価されます。

等級は2級、1級、特級が設けられており、合格者には「技能士」として厚生労働大臣または都道府県知事から証書が交付されます。

この資格は、製造現場での信頼を高めるだけでなく、キャリアの向上にも直結します。

その他汎用性の高い資格

上記で紹介したもの以外にも、統計検定、QC検定、G検定、情報処理技術者試験などは、エンジニア全般に役立つ知識を体系的に身につけていることを証明できる資格です。例えば、統計検定は製造工程におけるデータ分析に活かせ、QC検定は品質管理の実務に直結します。特にプロセスエンジニアの場合、複雑な工程の自動化・効率化やデータ分析による歩留まりの向上、効率的なリスク管理などを実行していくうえで非常に有利です。

 

また、G検定ではAI(人工知能)を活用するための基礎知識が身につきます。

情報処理技術者試験は、ITスキルを十分に備えていることを証明できます。

 

技術力の幅を広げたい方は、これらの資格取得を積極的に検討することをおすすめします。

半導体エンジニアのキャリアパス

半導体エンジニアのキャリアパス

半導体エンジニアには、専門分野の知識を深めるだけでなく、マネジメントや研究開発、さらには海外拠点での活躍など、様々なキャリアパスがあります。経験を重ねることで、選択できる進路の幅が広がる点は半導体エンジニアの魅力です。

ここでは、代表的なキャリアパスを3つ紹介します。


スペシャリスト

半導体分野で技術を磨き、現場で経験を重ねることで、設計・開発・品質保証といった各分野の第一線で活躍するキャリアパスです。さらに、専門知識や応用力を磨き続けることで、社内外から高く評価され、フェローなど技術顧問の役職に就くチャンスが広がることもあります。


マネージャー

マネージャーは、技術力を基盤とし、チームの運営やプロジェクト推進に携わます。

製品開発から販売に至るすべての工程を幅広く把握し、予算管理や人材育成を通じて、成果の最大化を目指します。

リーダーとしてのスキルに加え、ビジネススキルやマネジメントスキルをさらに磨くことで、組織の成長を牽引する存在へと成長できます。


研究開発者

研究開発職は、技術革新の最前線で活躍する大事な役割を担っています。例えば、企業の研究所や大学では、新素材の発見や革新的な製品の設計、製造プロセスの改善など、さまざまな課題に取り組み、業界の未来を切り開きます。

半導体エンジニアの将来性

半導体エンジニアの将来性

AIやIoT、5G、EVの発展にともない、半導体の必要性はますます高まっています。

さらに、医療機器や自動車分野でも半導体の活用が拡大しており、実務経験を持つエンジニアは各業界から求められています。 

特に、日々発展する最先端技術に対応できるスキルを身につけることで、キャリアの幅や将来の可能性は一段と広がるでしょう。

このように、半導体エンジニアはデジタル社会の中核を担う職種のひとつとして、今後も需要が高まるとされています。 

半導体エンジニアの転職成功事例

半導体エンジニアの転職成功事例

メイテックネクストからの転職事例紹介をご紹介します。

 

【転職成功事例】

<産業装置メーカーのフィールドエンジニアから半導体製造装置メーカーのフィールドエンジニアへ>

ASIC・FPGA設計(RTL設計、検証、シミュレーション)や、C/C++・Pythonを用いた制御ソフト開発の経験を活かして転職に成功されました。

 

半導体業界の転職はチップメーカーより装置メーカーで、より転職成功している傾向があります。

この方のように、高速演算回路設計や画像認識アルゴリズム実装などのスキルは、近年特に評価される傾向にあります。


こうした経験をお持ちの方は、画像処理を主軸とする露光装置メーカー(ニコン、キヤノン、ASML Japan など)や、プロセス制御・プラズマ関連の装置メーカーなどへの転職可能性も広がっています。


半導体関連エンジニアの転職成功事例


【転職成功事例】

<産業装置メーカーのフィールドエンジニアから半導体製造装置メーカーのフィールドエンジニアへ>

ASIC・FPGA設計(RTL設計、検証、シミュレーション)や、C/C++・Pythonを用いた制御ソフト開発の経験を活かして転職成功。

高速演算回路設計や画像認識アルゴリズム実装などのスキルを評価され、画像処理系露光装置メーカー(ニコン、キヤノン、ASML Japanなど)への可能性も広がりました。


エージェントからのアドバイス

エージェントからのアドバイス

半導体業界では現在、後工程を中心に採用熱が高まっています。

特にチップレットや3Dパッケージなどの先端技術分野が活発です。

一方でパワー半導体は一時的に落ち着きを見せています。

また、特異技術を持つスタートアップの台頭も見られます。


全体として年収レンジが上がっており、特に装置メーカーが上昇傾向です。

特異技術が必要な装置は技術的な参入障壁が大きく、且つ世界的に需要が安定しているため、価格競争に陥りにくく利益率が高い構造です。これが年収にも反映されている傾向にあります。

人材の獲得競争も激しく、転職で年収が100~200万円のアップするケースはよくあります。中には500万以上アップするケースもあります。


採用が決まりやすい方の共通点としては、半導体設計(アナログ・デジタル)、プロセス技術、パッケージング、テストなど特定分野における深い専門性を持つことが挙げられます。特に先端ノードやSiC/GaNといった新材料の経験者は高く評価されます。

そして、設計に加え、量産立ち上げや歩留まり改善といった実務経験があると即戦力として歓迎されています。

英語力についても、海外ファウンドリや顧客とのやり取りが増えているため、技術文書や会議対応ができるレベルは必須に近いです。


さらに、人物像としては、トラブルがつきもの半導体に携わる中で原因究明や改善策を主体的に考えられる「主体的な問題解決力」、技術進化が速い業界で常に新しい知識をキャッチアップする「学習意欲・アップデート欲」、チームで動くことが多いため、協調性と必要な場面でリーダーシップを発揮できる「協調性とリーダーシップ」などが重視されています。面接では、国際的サプライチェーンに関わる業界特性から、堅実さよりも最新技術への挑戦姿勢や、海外志向・異文化対応力をアピールできる方が評価される傾向です。

また、半導体エンジニアの転職市場で評価される要素として下記があります。


・AI活用スキル・データ分析スキル:開発効率化や設計最適化を実現するうえで重要視されており、転職時の大きな強みとなります。

・アナログ回路・半導体素子設計スキル:単なる回路設計にとどまらず、素子レベルでの深い理解が求められる傾向があります。

・プロセスエンジニアリング・製造技術:国内では九州など、新工場の建設が進む地域を中心に、人材需要が急増しています。

・マテリアル系(有機・無機材料)や装置メンテナンスの知識:他業種からでもスキルを横展開しやすく、キャリアチェンジにも活かせる分野です。

・英語力・海外ファブ対応スキル:グローバルな供給網強化が進むなかで、外資系企業や海外協業プロジェクトでは必須スキルとなりつつあります。

 

 

転職を検討される方は、AIチップやパワー半導体、チップレットといった最新のトレンド把握に加え、海外企業やグローバルプロジェクトに参加する英語でのコミュニケーション力、そして社内プロジェクトなどを通じた多工程経験の積み重ねを意識するとよいでしょう。

基礎となる技術力ともに、グローバルな視野と柔軟な学習姿勢、AI活用力やマネジメント力などを身に着けることが、今後のキャリアを切り拓く鍵となります。

この記事の寄稿者

半導体エンジニアは、設計・開発、製造、品質管理、研究開発などを担う、高い専門性と将来性を備えた職種です。

近年では、AIやEV、IoTの普及が進むことで、この分野の需要が急速に増えています。

半導体分野に挑戦することは、十分に価値のある選択と言えるでしょう。メイテックネクストは、技術知識や業界の動向に精通したコンサルタントが、一人ひとりの経験・志向に合わせた求人をご紹介します。

大手メーカーを中心とした非公開求人も多数保有しており、技術者の強みを最大限に活かせる転職をサポートしています。

半導体エンジニアとして新たな一歩を踏み出したい方は、ぜひメイテックネクストにご相談ください。

山田英二
山田英二

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