製造業・メーカー・ITのエンジニア転職ならMEITEC NEXT

高圧ガス製造保安責任者とは?資格の概要や仕事内容まで解説

高圧ガス製造保安責任者とは?資格の概要や仕事内容まで解説

高圧ガス製造保安責任者は、高圧ガス保安法に基づき、高圧ガスの製造・貯蔵を安全に管理するための国家資格です。安全と技術の両面から産業を支える重要な資格であり、将来性にも注目が集まっています。

本記事では、この資格の種類や試験制度の概要、具体的な仕事内容や年収、さらにキャリアアップの方法について詳しく解説します。

高圧ガス製造保安責任者とは

高圧ガス製造保安責任者とは

高圧ガス製造保安責任者は、高圧ガス保安法に基づき、事業所で高圧ガスの製造・貯蔵・取り扱いを安全に管理するための国家資格の有資格者です。高圧ガスを製造する事業者は、高圧ガス保安法に基づき、事業所ごとに製造保安責任者を選任する義務があり、災害防止や保安体制の維持を担います。

選任される資格の種類は、設備の規模や取り扱うガスの種類によって異なります。資格は冷凍機械や化学など9種類に分かれており、特に第一種冷凍機械責任者は大型冷凍設備での配置が義務付けられているため需要が高く、近年は学生の受験者も増えています。

高圧ガス製造保安責任者の資格の種類

高圧ガス製造保安責任者の資格の種類

高圧ガス製造保安責任者は、取り扱うガスの種類や設備の規模に応じて複数の区分が設けられている国家資格です。各区分ごとに必要とされる知識や試験の難易度が異なるため、自身の業務に適した区分を理解することが求められます。以下では、それぞれの資格の種類と特徴について解説します。


甲種化学/機械

甲種化学・機械責任者は、高圧ガス保安資格の最高位に位置しています。この資格を取得すると、毒性ガスや可燃性ガスを含むあらゆる種類の高圧ガス、さらに規模を問わない製造設備において、事業所の保安技術管理者として選任されることが可能です。化学プラント、石油精製施設、半導体製造工場など、高度で複雑な工程を扱う現場で欠かせない資格です。



また、保安技術管理者から容器検査主任者まで、法令で定められたすべての業務を担えます。なお、試験区分は「化学」と「機械」に分かれていますが、資格の効力に差はありません。


乙種化学/機械

乙種化学・機械責任者は、甲種に次ぐ資格であり、高圧ガス製造現場で保安業務を担います。取り扱えるガスの種類に制限はなく、主任者や係員など幅広い役割に選任可能です。ただし、保安技術管理者として選任される場合は「処理能力が1日100万㎥未満」の事業所に限られるという特徴があります。甲種との違いは、試験内容と設備規模に関する制約であり、自身の得意分野や勤務環境に応じて選択できる資格です。


丙種化学(液化石油ガスほか)

丙種化学には「液化石油ガス」と「特別試験科目」の2つの区分があります。丙種化学(液化石油ガス)責任者は、LPガスの充てん事業所やガススタンドで保安の統括的または実務的な業務を担い、事業所の規模が一定以下であれば保安技術管理者として選任されることも可能です。

一方、特別試験科目は石油化学コンビナートや天然ガス設備など幅広い現場で従事できますが、保安の統括的な業務を担うことはできず、保安係員など実務担当に限られます。両資格はいずれも高圧ガス保安法に基づき、役割と選任範囲が明確に区分されている点が特徴です。


第一種〜第三種冷凍機械責任者

冷凍機械責任者は、冷媒ガスを使用する冷凍設備や空調設備の安全管理を担う国家資格です。食品工場や化学プラント、ビル空調など幅広い現場で必要とされています。第一種は大型設備を対象とし、冷凍能力に制限なく統括業務を行うことができ、甲種化学・機械の資格に匹敵する責任が求められます。第二種は中規模設備を扱い、1日あたりの冷凍能力が300トン未満の施設に限定されるのが特徴です。

第三種は100トン未満の小規模設備が対象で、ビル管理に役立つ「ビルメン4点セット」のひとつとして知られる、実用性の高い資格です。

高圧ガス製造保安責任者試験の概要

高圧ガス製造保安責任者試験の概要

試験に臨む前に制度全体を理解しておくことで、効率的な学習計画を立てやすくなります。ここでは、受験資格や免除制度、試験の進行など、概要を整理して解説します。


受験資格

高圧ガス製造保安責任者試験は、一般財団法人高圧ガス保安協会(KHK)が実施する国家試験です。受験にあたり、学歴や職務経験などの条件は設けられておらず、年齢や性別による制限もありません。安全管理の知識を身につけたい人であれば、誰でも受験できる点が大きな特徴です。


科目免除制度

科目免除制度とは、高圧ガス保安協会が実施する講習を修了し、技術検定に合格すると国家試験の一部科目が免除される制度です。この制度を利用すれば、高圧ガス製造保安責任者試験では法令科目のみの受験で済むことがあります。さらに、すでに特定の試験に合格している人が別の試験を受ける際に、試験の種類の組み合わせによって科目免除が適用される場合があります。


受験の流れ

受験は電子申請による登録を終え、その後に受験票を受け取り試験当日を迎える流れです。講習を修了している場合は、証書を提出することで一部科目が免除されるため、効率的に受験できます。講習を受けていない場合は全科目を受験する必要があります。免除の有無によって試験範囲や当日のスケジュールが変わるため、事前の確認と手続きが欠かせません。


試験科目や形式

高圧ガス製造保安責任者試験は、法令・保安管理技術・学識の3分野で構成されており、資格の種類によって出題範囲が異なります。法令分野では、高圧ガス保安法を中心に最新の規定に関する理解が求められます。保安管理技術では、化学や機械を安全に運転・管理するための知識が必要です。


学識分野では、化学工学・機械工学・熱力学などの専門理論が扱われ、特に甲種試験では記述式の高度な問題が出題される点が特徴です。試験形式は基本的に択一式ですが、上位資格では記述式も加わり、理解力と応用力が試されます。試験時間は科目ごとに設定されており、法令は60分、保安管理技術は90分、学識は120分と長時間にわたるため、幅広い知識と集中力が不可欠です。


合格率

2024年度の知事試験結果によると、全科目を受験した場合の合格率はおおむね2~3割にとどまります。一方で、科目免除制度を利用した受験者の合格率は約7割と高く、結果に明確な差が見られます。



前述のとおり、科目免除制度とは、講習の修了や既取得資格によって「保安管理技術」「学識」「法令」などの科目を省略できる仕組みです。これにより受験者の負担が軽減され、合格率の向上につながります。事前講習や既取得資格を積極的に活用することは、資格取得への近道と言えるでしょう。


参照元:令和6年度 高圧ガス製造保安責任者試験等結果(知事試験)受験者数・合格者数・合格率一覧表

高圧ガス製造保安責任者のおもな仕事内容

高圧ガス製造保安責任者のおもな仕事内容

高圧ガス製造保安責任者は、製造・取扱いの各工程で安全を守るうえで、中心的な役割を果たします。日常の点検や設備の管理に加えて、事業者が行う法律に基づく届出事項の確認・監督、万が一の緊急時の対応など、担当する業務は多岐にわたります。ここでは、具体的な仕事内容について項目ごとに解説します。


日常点検・巡回

設備の安全運転を確保するため、日常点検では運転状況や圧力・温度などの主要なパラメータを確認します。さらに、高圧ガス漏洩検知システムや安全弁、緊急遮断装置が基準に従って正常に機能しているかを点検します。これらの作業は、高圧ガス保安法に基づく「保安規定」に従って実施され、責任者は現場担当者が定められた手順を正しく守っているかを監督し、規定が形骸化しないよう厳格に管理することが役割です。


設備更新・工事管理と法令届出

高圧ガス設備の更新や改造、修理を行う際には、製造保安責任者が中心となり対応します。工事開始前には、高圧ガス保安法に基づき事業者が行う必要な届出や許可申請について、その内容の確認および安全管理体制の構築を監督し、行政との調整をします。施工中には安全管理体制を構築し、外部業者が作業に関わる場合には、教育の実施や作業手順の承認を一括管理します。こうした取り組みが事故を防止し、設備の信頼性と法令遵守を確実にします。


行政の対応

法定資格者は、行政機関との継続的なやり取りが欠かせません。製造保安責任者は、事業者が都道府県知事や経済産業大臣に対し、定期自主検査の結果を報告する義務を果たすため、その検査の実施や記録の作成を監督します。さらに、立ち入り検査や保安検査に対応し、設備や管理体制の適正を示す責任を負います。加えて、点検記録・教育記録・運転記録など、法令遵守を裏付ける資料を作成し、適切に保存することも重要な業務です。



緊急時の対応

高圧ガス事故が発生した際には、直ちに指揮命令系統を稼働させ、初動対応を一元的に管理することが重要です。続いて、二次災害を防ぐための措置を迅速に講じ、関連法令に基づき行政機関へ速やかに報告します。最終的には、責任者が専門知識に基づき安全回復に向けた具体的な措置を指揮・実行し、事業所の危機管理体制が確実に機能するよう努めます。

設備保全/生産技術との関係

設備保全/生産技術との関係

高圧ガス製造保安責任者は、工場の高圧ガスに関する安全管理の専門責任者として、設備保全部門と生産技術部門の間に立ち、法令遵守と生産効率の両立を図る役割を担います。生産技術部門が効率向上や生産量の確保を重視する一方で、保安責任者は圧力・温度・流量などの操業条件が保安規定の範囲内に収まるよう管理しなければなりません。



さらに、工程変更や効率化の提案が出された際には、安全基準を満たしているかどうかを最終的に確認し、承認する権限を持っています。そのため、この職務には高度な技術知識に加え、部門間の利害を調整する交渉力が不可欠であり、これらの能力がキャリア形成に直結します。

高圧ガス製造保安責任者の年収

高圧ガス製造保安責任者の年収

高圧ガス製造保安責任者の年収は、取得資格の種類や経験年数、勤務先の規模によって大きく変わります。一般的な相場は400万~700万円程度ですが、甲種や第一種冷凍機械責任者などの上位資格を持ち、大規模プラントや重要施設の管理を担う場合には1,000万円を超えるケースもあります。資格は全部で9種類あり、同じ資格でも企業によって待遇差が大きいのが特徴です。ただし、複数資格の取得や経験の積み重ねによって、収入アップの可能性は広がります。

高圧ガス製造保安責任者を活かしたキャリアアップ

高圧ガス製造保安責任者を活かしたキャリアアップ

高圧ガス製造保安責任者の資格は、製造業やインフラ分野でキャリアを築くうえで重要な基盤となります。乙種から甲種、第三種冷凍から第一種冷凍へと段階的に資格を取得することで、管理できる設備の規模や責任範囲が拡大し、給与水準の向上にもつながるでしょう。



さらに、保安規定の策定や行政対応、現場での安全管理を経験することで、保安部長や工場長補佐、プラント運営責任者といった管理職への道も開かれます。加えて、法令遵守やリスク管理のスキルを活かし、安全衛生コンサルタントや企業のコンプライアンス部門など、専門職として幅広く活躍できる可能性も広がります。

高圧ガス製造保安責任者の将来性

高圧ガス製造保安責任者の将来性

高圧ガス製造保安責任者は、法律で選任が義務付けられているため、製造業が続く限り安定した需要があります。特に半導体や電子材料、ファインケミカル分野では、高純度で危険性の高い特殊ガスの利用が増えており、甲種資格者の重要性は一層高まっています。



さらに、脱炭素社会の進展に伴い、水素やアンモニアといった新しいエネルギーガスのインフラ整備も進んでいます。今後は新設施設の建設や既存設備の改修において、高度な保安管理を担える資格者の需要が拡大するのは必須です。

高圧ガス製造保安責任者が活躍する場

高圧ガス製造保安責任者が活躍する場

高圧ガス製造保安責任者は、専門的な知識と資格を活かし、幅広い産業分野で欠かせない役割を担っています。石油化学や素材メーカーの大規模プラントでは、甲種資格者が安全運転の要となり、半導体やディスプレイ工場では高純度かつ危険性の高い特殊ガスを厳格に管理します。



さらに、冷凍食品工場や物流拠点では冷凍設備の安定稼働を支え、産業用ガスやLPガスの製造・取扱い現場でも重要な存在です。加えて、プラントエンジニアリング企業では設計段階から法令適合性を確認し、施設全体の安全性を確保する役割を果たします。

その他の高圧ガス関連資格

その他の高圧ガス関連資格

高圧ガス分野には、高圧ガス製造保安責任者以外にも重要な資格があります。例えば、高圧ガス販売主任者は販売事業所で保安管理を担う国家資格で、指定された高圧ガスの取り扱いに責任を負います。



また、高圧ガス移動監視者(液化石油ガス)は、質量3,000kg以上のLPガスを輸送する際に必要な資格です。容器や計器の点検、異常時の応急対応を通じて物流の安全を確保します。いずれの資格も、人命と社会の安全を守るという点で共通した役割を担っています。

高圧ガス製造保安責任者に関するQ&A

高圧ガス製造保安責任者に関するQ&A

ここでは、高圧ガス製造保安責任者についてよく寄せられる質問をQ&A形式でまとめています。


高圧ガス製造保安責任者の難易度は?

高圧ガス製造保安責任者試験の難易度は、受験区分によって大きく異なります。乙種化学・乙種機械・丙種化学(液石)の区分では、全科目受験者の合格率が10~20%台と低く、難易度は非常に高い傾向です。合格には幅広い知識と深い理解力が求められ、挑戦的な試験と位置づけられます。一方、第二種販売や第三種冷凍機械の区分では、科目免除を利用できる受験者が多く、合格率が50%を超えるケースもあります。そのため、これらは比較的難易度が低く、取得しやすい資格といえるでしょう。



参照元:令和6年度 高圧ガス製造保安責任者試験等結果(知事試験)受験者数・合格者数・合格率一覧表

高圧ガス製造保安責任者を活かした転職成功事例

高圧ガス製造保安責任者を活かした転職成功事例

【転職成功事例】

<化学系メーカーの保全・生産技術エンジニアから、プラントエンジニア(電気計装+高圧ガス)へ>

32歳・現年収580万円→710万円へ年収アップ

 

化学系メーカーにて、保全・生産技術エンジニアをされていた方です。プラントエンジニア(電気計装および高圧ガス関連業務)として転職されました。約130万円の年収アップを実現しています。

エージェントからのアドバイス

エージェントからのアドバイス

高圧ガス製造保安責任者を取り巻く採用市場は、活発な状況が続いています。特に、半導体向けの材料メーカーにおける設備の新設・更新の増加や、化学メーカーにおける老朽化設備の更新対応や技術継承を目的とした増員が目立っており、現場ニーズは確実に高まっています。

 

近年の求人動向を見ると、高圧ガスの資格を持っていることに加え、業務領域を広げているかどうかがより重視される傾向にあります。危険物取扱者、衛生管理者、ボイラー技士、エネルギー管理士、電気主任技術者、計装士、冷凍機械責任者など、複数の資格や関連分野の実務経験を併せ持つ人材を求める企業が増えています。

 

採用が決まりやすい方の共通点としては、技術力だけでなく、危険物を扱う現場にふさわしい慎重さやルール順守の姿勢、失敗やトラブルを隠さず開示できる誠実さが挙げられます。また、安全管理や安全衛生について、従業員への啓もう活動に関わってきた経験も高く評価されています。

 

一方で、他業界からの転職については、現時点では対象となるガス分野が限られているため、材料業界出身者が主となっています。ただし、今後は水素ガスの利用拡大により、将来的には船舶や自動車分野など、材料プラント業界以外へ広がる可能性も見込まれています。

 

面接では、既存設備の更新経験だけでなく、新規設備の導入経験や、経験が無くともに導入に対する志向性が求められるようになっています。転職を見据えるのであれば、現職において新規性の高い設備の仕様検討から導入までに関わることが理想です。仮に直接関われない場合でも、更新設備と新規導入設備のコスト比較ができるレベルの知見を持っておくことは、大きな強みになります。

 

加えて、半導体向けや新規商材向けの高圧ガスの知見を持つ方、危険物や安全管理領域へ技術の幅を広げている方、さらに計装・電気施工・電気主任・電気工事など電気系分野の知見を広げている方は、実際に転職成功例が多く見られます。

 

高圧ガス分野でのキャリアアップを目指す方は、資格取得にとどまらず、設備の新規導入や安全管理、周辺技術への広がりを意識した経験づくりを進めていくことが、次のキャリアにつながる重要なポイントと言えるでしょう。

この記事の寄稿者

高圧ガス製造保安責任者は、高圧ガスを安全に製造・取扱いするための国家資格です。甲種から冷凍機械までの全9区分に分かれており、難易度は高めですが、科目免除制度があるため効率的に取得できます。この資格は安全と技術を支えるのに不可欠な国家資格で、取得すると年収の向上やキャリアアップに直接つながります。

幡多秀駿
幡多秀駿

このコンサルタントに相談してみる