機械を直す仕事とは?機械修理工の業務内容や年収相場
機械修理工へ転職したいと考えている方に向けて、機械修理工の主な仕事内容と活躍の場、年収の目安を紹介します。
機械修理工は、工場や現場で使用する機械の修理や整備、メンテナンスを専門に行う技術職です。現場で役立つ資格や取得の難易度、将来性まで詳しく解説します。
機械を直す仕事は「機械修理工」

機械修理工とは、さまざまな機械の修理や整備を行う専門職です。修理や整備の対象は、自動車、家電、業務用機器など、幅広いものがふくまれます。
総務省の日本標準産業分類(令和5年7月改定)を参照すると、機械修理業は以下のように分類されます。
大分類:サービス業(他に分類されないもの)
中分類:機械等修理業(別掲を除く)
に分類され、
さらに小分類の機械修理業(電気機械器具を除く)、電気機械器具修理業、家具・建具等修理業、一般機械修理業(建設・鉱山機械を除く)や、建設・鉱山機械整備業とを含む機械修理業(電気機械器具を除く)、他に分類されないその他の修理業、などに分けられます。
また、厚生労働省が運用する職業情報提供サイト(日本版O-NET)「jobtag」によれば、機械修理工の分類は「電気機械器具整備・修理工」に区分されます。
具体的には、太陽光発電のメンテナンス、家電修理、風力発電のメンテナンスなどが該当します。例えば家電修理では、電気洗濯機修理工、電気掃除機修理工、電気冷蔵庫修理工、家庭用エアコン修理工、家庭用電気製品修理工、テレビ修理工の6種類が挙げられます。
機械修理業が担う日常的な点検や消耗部品交換、トラブルを未然に防ぐ設備保全やメンテナンスなどの業務は、機械を安定して稼働させるために欠かせません。
顧客先へ出向き、自社製品(機械やシステム)の設置から修理、課題解決に向けた提案までを担うフィールドエンジニアには、幅広い専門知識と高いコミュニケーションスキルが求められます。
機械修理工が活躍する企業

多くの機械修理工が、メーカーのメンテナンス部門や、修理やメンテナンスを専門とした企業で活躍しています。
メンテナンス部門を抱えるメーカー
メーカーのメンテナンス部門では、自社製品のアフターサービスを担います。
機械修理工の役割は、修理だけでなく、機械やシステムの長期的な安定稼働を保証することです。業界によって、扱う機械や作業環境、最優先すべき基準は異なります。
例えば、食品工場の場合、衛生管理を徹底しながら機械の点検を行わなければなりません。また、自動車工場では、精密なロボットの調整が日常的な業務として求められます。さらに、化学プラントでは、巨大な設備を安定して動かすために、専門的な知識と豊富な経験が必要です。
このように、機械修理工には、現場ごとに柔軟に対応する力が求められます。
単なる故障対応だけでなく、予防保全や改善の提案を行うことで、生産性の向上に貢献することが役割です。特にメーカーでは、新製品の開発や製造が継続的に行われるため、所属する機械修理工も常に新しい知識やスキルを習得しなければなりません。
修理やメンテナンスを専門とする企業
建設機械の出張修理やアミューズメント施設の保守、工場設備や大型トラックの整備など、修理やメンテナンスを専門とする企業の業務は幅広く展開されています。こうした企業では、異なる現場に出向いて作業を行わなければなりません。
単調な作業の繰り返しではないため、状況に応じた柔軟な対応力が必要です。場合によっては、油汚れや長時間労働、危険を伴う場面などもあり、厳しさを感じるかもしれません。しかし、技術力の向上を実感できることや、責任感を持って取り組めることは大きなやりがいにつながります。
修理やメンテナンスの需要は常に高水準にあり、日々変化に富む業務は、大きな挑戦とそれに見合うだけの充実感をもたらします。
機械修理工の仕事内容

事前に仕事内容を把握することは、転職後のミスマッチ防止に有効です。必要な知識とスキルについて知り、自身のキャリアを成功に導くための準備を整えましょう。
故障対応(診断・修理)
機械が停止した際は、異音や発熱といった兆候を五感で捉え、原因を論理的に突き止める「診断」を行います。
内部構造を理解して問題箇所を特定したうえで、部品の交換や配線の修復を行うには、高度な技術が必要です。
現場ではマニュアル通りに進まないことも多いため、状況に応じた柔軟な対応が求められます。
また、機械や技術は日々進化しているため、継続的な学習が欠かせません。機械修理工の迅速な診断と修理によって、機械は安定した稼働を取り戻します。
予防保全(メンテナンス)と点検
機械修理工の仕事は、単なる故障対応にとどまりません。
日常的に機械の動作を確認し、必要に応じて調整やクリーニングを行うことで設備の寿命を延ばし、突発的なトラブルを未然に防ぎます。
また、定期的な部品交換や点検に加え、現場担当者へのヒアリングを通じて使用状況を把握し、メーカーへの部品発注や納期管理など、機械を直接扱わない調整業務も行います。
さらに、過去の故障履歴や稼働データを分析し、改善策を提案することも機械修理工が担う役割のひとつです。
こうした予防保全の積み重ねが生産現場の安定を支え、効率や品質の向上につながります。
機械修理工の仕事の特徴とは?|現場で働く人の”生の声”

機械修理工の仕事に興味がある方にとって、重要な情報源となるのが現場で実際に働いている人の声です。仕事の難しさややりがいについて知っておきましょう。
機械修理工のやりがい
最大のやりがいは、顧客に製品を長く使い続けてもらうことです。
自分の技術で機械の寿命を延ばし顧客の生産活動を支える役割は、大きな責任を伴いますが、充実感があります。また、技術者としての成長を実感できることも魅力です。
故障の原因を特定し、問題を解決するプロセスそのものが技術者にとって充実した時間となります。
修理した機械が再び正常に動作する瞬間は、達成感が得られます。機械修理工の仕事には、幅広い知識と技術の習得が必要です。
例えば、電子機器の修理には、電子回路の知識と機械的な修理技術が求められます。
このように、幅広い知識や技術を身につけ、それを仕事に活かせる点に、機械修理工としてのやりがいを感じる人が多くいます。
機械修理工の大変なところ
業務を遂行するには、幅広い専門知識と技術が求められるため、常に学び続けることが欠かせません。新しい技術や機械に対応するために、日々の労働と学習を並行して行う点は、機械修理工の大変なところです。
メンテナンスとは違い、修理が必要になる場面は予期せぬトラブルが発生したときです。迅速な復旧が求められるため、深夜や休日に呼び出されることも珍しくありません。こうした作業はやりがいにもつながる一方で、いつ呼び出されるかわからないといった緊張感があるのも事実です。
他にも、修理やメンテナンス作業そのものに失敗や間違いが許されないこと、出張作業の際はまったく異なる環境下で作業を行わなければならないことなども、機械修理工の大変なところです。
機械修理工として働くのに役立つ資格は?

機械修理工として働くうえで、知識の証明となる関連資格は多岐にわたります。代表的な資格は以下のとおりです。
・機械保全技能士
・技術士
・電気工事士
・自動車整備士
機械保全技能士
公益社団法人日本プラントメンテナンス協会が実施している国家試験です。工場の設備機械の故障や劣化の予防、正常な運転を維持するための技能を証明する国家資格です。
機械保全技能士の資格試験は、は特級・1級・2級・3級と分かれており、特級以外の試験は、機械系・電気系・設備診断の作業別に実施されます。電気系保全作業以外の試験は、すべてマークシート方式です。
3級試験は年2回、2級以上は年1回試験が行われており、それぞれ学科試験と実技試験に分かれています。受験資格は実務経験の年数によって異なりますが、3級は実務経験がない人でも挑戦できます。なお、2級は2年以上、1級は7年以上、特級は1級合格後に5年以上の実務経験が必要です。
2024年度では、全体の合格率が約42%となっており、特に上位級は合格率が20〜30%程度と難易度は高めです。
参照元:国家検定 機械保全技能検定
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技術士
公益社団法人日本技術士会が実施する国家試験です。
科学技術に関する技術的な専門知識と高等の応用能力、実務経験が豊富であること、公益を確保するために高い技術者倫理が備わっていることを証明できる国家資格です。
機械分野、船舶・海洋部門、建設部門、原子力・放射線部門、総合技術監理部門など、計21の技術部門があります。
試験は第一次試験と第二次試験の二段階で構成され、第一次試験では大学卒業程度の基礎知識が問われ、第二次試験では専門分野の高度な知識や応用力に加え、口頭試験による総合的な判断力が評価されます。
また、一次試験は実務経験がない人でも受験できますが、二次試験を受験するには、技術士第一次試験に合格、または、文部科学省が指定した教育課程を修了していなければなりません。
2024年度の第一次試験合格率は全体で約30%前後、分野別では機械が約42.4%、電気電子は約36.8%、建設は約35.8%、情報工学は約54.8%となっています。第二次試験合格率は全体で約10%と難関であり、建設部門では約8.7%、情報工学部門は約7.0%と特に低水準です。
一方、資源工学部門や金属部門は18%前後と比較的高い合格率を示しています。
社会的信頼性が高く、技術者資格の最高峰に位置付けられています。
参照元:公益社団法人日本技術士会
電気工事士
一般社団法人電気技術者試験センターが実施する国家試験です。
電気工事士は国家資格であり、電気工事士法に基づいて家庭や店舗の低圧配線、工場やビルの高圧設備などを施工する専門技術者です。
資格は第一種と第二種に分かれており、第一種は600Vを超える工場やビルなど、高圧設備を含む幅広い工事に対応できます。第二種保有者は、住宅や商店など、600V以下の電気工事を行うことが可能です。
第一種を受験するには実務経験が必要ですが、第二種は誰でも挑戦できます。試験は学科と技能の二段階で構成されています。近年は技能試験の候補問題が事前に公開されることもあり、2025年度上期の合格率は第一種が55.1%、第二種が72.0%とやや高めです。
自動車整備士
国土交通省(一般社団法人日本自動車整備振興会連合会)が実施する国家試験です。
自動車の構造と整備に関連する知識や技能が備わっていることを証明できる国家資格です。
資格保有者は、自動車の整備技術を高い水準に保つため、適切な点検と整備を行い、自動車の安全を守る役割を担います。
資格を取得するには、技能検定試験、または一般社団法人日本自動車整備振興会連合会(日整連)の登録試験に合格する必要があり、学科と実技の両面で高度な知識と技術が求められます。資格は、一級、二級、三級・特殊整備士に分かれ、さらに細分化されており、最高位資格は一級自動車整備士です。
養成施設では、一級課程で約1,800時間、二級課程で1,800時間、三級課程で900時間の教育が行われます。修了者には、一定期間実技試験が免除される制度が設けられています。2025年度第1回の試験結果は、二級ガソリンの合格率が約62%、二級ジーゼルは約59%、二級2輪は約80%、全体の平均合格率は約68%でした。
参照元:一般社団法人日本自動車整備振興会連合会(JASPA)
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機械修理工の年収相場とキャリアパス

民間給与実態統計調査の統計によれば、日本の給与所得者の平均給与は478万円とされています。機械修理のうち家電修理分野の年収は、厚生労働省が運用する職業情報提供サイト(日本版O-NET)「jobtag」によれると約586万円と高い水準を示しています。機械修理工は、現場で経験を積みながら資格取得を目指せる職種であり、未経験であっても専門技術を身につけることで収入アップを目指せます。また、建設機械や重機などの特定分野で専門性を高め、より高収入を狙うことも可能です。
積極的に学ぶ姿勢を持ち、経験を重ねて判断力や問題解決力を養うことで、難易度の高い修理に対応できる技術者へ成長できます。将来的には、管理職や指導者として人材育成に携わる道も開けます。
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AIに代替されにくい機械修理工の将来性

結論として、機械修理工の将来は明るいと考えられます。
近年では、生産年齢人口の減少に伴い、労働力を補うための自動化や機械化が進められるようになりました。これにより、製造業や建設業、農業などをはじめ、これまで人手で行っていた作業を機械に代替する動きが進んでいます。
AIが加速的に進化しているものの、機械修理やメンテナンスの仕事をすべてAIに代替できるようになるまでには、まだ時間がかかると考えられます。このような理由から、機械修理工の将来性は明るいと言えます。
機械修理工の仕事でよくある質問

機械修理工へ転職を検討する人が抱えやすい不安や疑問について、その回答をまとめました。
Q.機械修理工に向いている人はどんな人ですか?
機械そのものに強い関心を持ち、その仕組みを理解したいと考える人です。建設機械や自動車、家電製品など幅広い機械を扱うため、好奇心が仕事の原動力となります。また、故障の原因を突き止めるには根気強さが欠かせません。
細かな作業に集中できる人ほど力を発揮できる職業です。さらに、技術は日々進歩しているため、新しい知識を積極的に学び、挑戦を楽しめる柔軟さも求められます。
Q.必要な資格は転職前に取得すべきですか?
機械修理工として働くために、資格取得は必須ではありません。
多くの企業では、入社後に必要な資格を取得できるよう支援する制度があり、研修や費用の補助などを通じてスキルアップをサポートしています。そのため、転職時の面接では、やる気や基本的な知識を重視する企業が多くなっています。
機械修理工への転職成功事例

<産業装置のフィールドメンテナンスから、半導体製造装置のフィールドメンテナンスへ>
30歳・2社経験:年収580万円→720万円へ年収アップ
産業装置のフィールドメンテナンス業務に従事されていた方です。
これまでの保守・メンテナンス経験に加え、英語力を磨かれたことで、半導体製造装置を扱うフィールドメンテナンスポジションへ転職。約140万円の年収アップを実現されました。
<化学系プラントの設備保全(交代勤務)から、物流業界の保全メンテナンス(交代勤務)へ>
28歳・2社経験:年収550万円→650万円へ年収アップ
化学系プラントにて、予防保全から設備のオーバーホールまで幅広く経験されていた方です。
人材不足により採用を強化している物流業界の保全メンテナンス職(交代勤務)へ転職し、約100万円の年収アップを実現されました。
エージェントからのアドバイス

機械修理工を取り巻く転職市場は、活況が続いています。採用現場では、搬送・産業装置業界や半導体業界でのフィールドメンテナンス、半導体材料メーカーの設備保全、物流業界における倉庫保全などを中心に、採用の動きが目立っています。業界全体として人材ニーズが高く、特定の年齢層や条件に限らず、幅広い層にチャンスがある状況です。
その中で、企業から特に評価されやすいのは、単なる故障対応にとどまらず、予防保全の意識を持って行動できる方です。例えば、トラブルを未然に防ぐために早めの部品交換を提案するなど、設備の安定稼働を意識した姿勢は高く評価されます。また近年は、顧客への提案が発生するケースも増えているため、顧客対応経験や対人コミュニケーション力を備えている方が優遇される傾向にあります。
技術面では、機械だけ、電気だけに限定せず、どちらかに軸足を置きながらも両面を見られる人材や、設備のオーバーホールまで対応できる方が評価されています。
業界横断での転職も進んでおり、自動車、航空、防衛、医療など、安全基準の高い業界での経験は特に多い傾向があります。量産品を扱ってきたか、一品一様の装置を扱ってきたかといった転職先との共通点の有無も、転職可能性を判断する重要なポイントです。
面接では、これまでの経験を論理的に説明できる言語化能力や、課題に対して提案できるコミュニケーション力が重視されています。今後を見据えると、IoT・AI・電動化といった電気的な最新技術の習得は欠かせません。さらに、ARやVRを活用した遠隔メンテナンスの動きも一部で始まっており、機械修理を指示・指導していける技術力を備えておくことが、今後のキャリア形成において重要になるでしょう。
転職を検討されている方は、これまでの経験を整理し、自身の強みを具体的に言語化する準備から始めてみてください。それが次のステップへの確かな一歩につながります。
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さらに、応募書類の添削や面接対策など、転職活動のあらゆる段階で手厚いサポートを行っているため、「失敗しない転職」を実現するための強力な支援を受けることが可能です。
この記事の寄稿者
機械修理工とは、その名のとおり機械の修理やメンテナンスを行う職業です。対象となる機械は多岐にわたり、専門分野も幅広いのが特徴です。活躍の場はメーカーや修理・メンテナンス専門企業などで、予期せぬトラブルへの対応が求められるため大変な面もありますが、その分、大きなやりがいを感じられる仕事でもあるでしょう。
機械修理工として働く際には、機械保全技能士など取得しておくと役立つ資格がいくつかあります。将来性のある職種への転職を検討している方は、エンジニアに特化した転職支援サービス「メイテックネクスト」へご相談ください。

- 鈴木 翔太