
【分類別】システムエンジニア(SE)の種類を徹底解説!
システムエンジニア(SE)は、IT業界の中でも幅広い分野で活躍する専門職です。
しかし、一口にシステムエンジニアといっても、その仕事内容や求められるスキルは担当領域によって大きく異なります。
本記事では、システムエンジニアの代表的な分類ごとに、それぞれの特徴や役割、求められる知識・スキルについて詳しく解説します。
システムエンジニア(SE)とは

システムエンジニア(SE)とは、コンピュータシステムの設計・開発・運用を担当する技術者のことです。
「System Engineer」の略称で、主に企業や組織の業務効率化やサービス向上のために、情報システムの企画・設計・開発・運用・保守といった幅広い工程に携わります。
システムエンジニアの主な役割は、クライアントの要望を正確に把握し、それをもとに最適なシステムの仕様を決め、設計図を作成し、開発やテスト、運用まで一貫して関わることです。
また、プロジェクト全体の進行管理や、顧客とのコミュニケーションも重要な業務のひとつです。
日本における「システムエンジニア」という呼称は、情報システムに関わるエンジニア全般を指す和製英語であり、担当する業務範囲は企業やプロジェクトによって異なりますが、共通して「システムの司令塔」としての役割を担っています。
システムエンジニアとプログラマー(PG)の違い
システムエンジニアとプログラマー(PG)の違いは、主に担当する工程と役割にあります。
システムエンジニアが担当するのは、システム開発の「上流工程」です。
クライアントとのやり取りを通じて要件定義や設計を行い、システム全体の仕様や構造を決めます。
また、システムエンジニアはプロジェクト全体の管理や調整も担います。
一方、プログラマーはシステムエンジニアが作成した設計書をもとに、実際にプログラムを開発する「下流工程」を担当します。
主にコーディングやテストといったシステムの具体的な実装作業です。
このように、両者には明確な役割分担があります。
家作りに例えると、システムエンジニアは設計士、プログラマーは大工のような存在です。
システムエンジニアの分類
システムエンジニアは、業務内容に応じて以下の4つのカテゴリに大別されます。
・開発系エンジニア
・インフラ系エンジニア
・マネジメント系エンジニア
・その他
開発系エンジニアはシステムやソフトウェア、アプリケーション、Webサイトなどの設計・開発を担当するエンジニアです。
要件定義から設計、実装、テストまで幅広く関わり、主に「システムを作る」役割を担います。
インフラ系エンジニアはサーバーやネットワークなど、システムの基盤となるインフラの構築や運用・保守を担当します。
システムが安定して稼働するための環境作りや維持管理が主な仕事です。
マネジメント系エンジニアは、プロジェクト全体の計画・進行管理や、要件定義・設計などの上流工程をリードするエンジニアです。
クライアントやチームとの調整、品質管理など、プロジェクト成功のための管理業務を担います。
その他、上記に当てはまらない特殊な分野や、社内SE・ブリッジSEなど、独自の役割を持つエンジニアも存在します。
【開発系】システムエンジニアの種類

ここからは、開発系エンジニアの種類と各仕事内容について詳しく解説します。
組み込みエンジニア
組み込みエンジニアとは、家電製品や自動車、産業機器などに内蔵される専用のソフトウェアの開発を担当するエンジニアです。
組み込みエンジニアは、限られたCPUやメモリなどのリソースの中で、効率的に動作するソフトウェアを設計・実装し、ハードウェアとの連携も考慮しながら開発を進めなければなりません。
そのため、決められた時間内に確実に処理を終えるリアルタイム性や、省電力性が強く求められます。
また、組み込みソフトウェアは製品の安全性や信頼性に直結します。このことから、厳密な品質管理やテストも重要な業務の一部です。
組み込みエンジニアが多く用いるプログラミング言語としては、ハードウェアに近い制御や高いパフォーマンスを実現するために適している、C言語やC++などが挙げられます。
▼関連記事:組み込みエンジニアとは? 仕事内容や年収、取得したい資格を紹介
フロントエンドエンジニア
フロントエンドエンジニアは、Webサイトなどのユーザーインターフェース(UI)を設計・開発するエンジニアです。
ユーザーが実際に目にし、操作する画面部分を構築し、使いやすさや見た目の美しさ、直感的な操作性など、ユーザー体験(UX)の向上を重視します。
HTML(構造)やCSS(デザイン・レイアウト)、JavaScript(動的な動作やインタラクション)を駆使し、さまざまなデバイスやブラウザで快適に利用できるWebページやアプリケーションを作り上げるのが主な仕事です。
またフロントエンドエンジニアは、デザイナーやバックエンドエンジニアと連携しながら、ユーザーにとって魅力的で快適なサービスを実現する役割を担っています。
バックエンドエンジニア(サーバーサイドエンジニア)
バックエンドエンジニア(サーバーサイドエンジニア)は、Webサイトなどにおけるサーバー側の処理を開発するエンジニアです。
主にユーザーの目に見えない部分で、システムの要件定義から設計、開発、実際の運用まで幅広く担当します。
具体的には、サーバーやデータベースの設計・構築、APIの開発、プログラムの実装、保守・運用などが主な業務です。
ユーザーがWebサイトで入力した情報の保存や、データの取得・加工、決済処理など、裏側でシステムを支える重要な役割を担っています。
使用するプログラミング言語はJava、Python、PHPなどが代表的で、システム要件やプロジェクトの特性に応じて選択されます。
また、データベースの設計・管理や、サーバーの構築・運用など、幅広い技術が求められるのもこの仕事の特徴です。
▼関連記事:バックエンドエンジニアとは? 仕事内容や向いている人の特徴を解説
AIエンジニア
AIエンジニアは、人工知能(AI)に関する技術の開発や応用を行う専門家です。
機械学習や深層学習(ディープラーニング)のようなAI技術を用いて、ITシステムやソフトウェアの設計や開発、運用を行います。
AIエンジニアには、膨大なデータをもとにAIモデルを構築し、画像認識や自動運転、故障予測など、さまざまな分野でAIを活用する力が求められます。
また、機械学習や統計学などの知識に加え、Pythonなどのプログラミング言語やAI関連のライブラリ(TensorFlow、PyTorchなど)を活用するスキルが必要です。
【インフラ系】システムエンジニアの種類

ここでは、インフラ系システムエンジニアにはどのような業種があるのか、それぞれ詳しく解説します。
ネットワークエンジニア
ネットワークエンジニアが担当するのは、企業や組織におけるネットワークシステムの設計・構築・運用・保守です。
ネットワークの要件定義や設計、機器(ルーターやスイッチなど)の選定・設置、ネットワーク構築、運用中の監視やトラブル対応、保守作業など、その業務は多岐にわたります。
またネットワークエンジニアは、ルーターやスイッチなどの機器を実際に扱う場面が多いのも特徴です。
そのため、ネットワーク機器や通信プロトコルに関する深い知識がなければなりません。
ネットワークの安全性を確保するためのセキュリティ対策も重要な業務のひとつで、不正アクセス防止や障害発生時の迅速な対応が求められます。
セキュリティエンジニア
企業や組織の情報システムにおいて、セキュリティ対策は欠かせません。
セキュリティエンジニアは、そうしたセキュリティシステムの企画・設計・構築・運用を担う専門職です。
主な役割は、サイバー攻撃や情報漏洩などのリスクに対応し、システムやネットワークを安全に保つことです。
具体的な業務は、セキュリティ要件の企画・提案、セキュリティ設計、セキュリティ機器の導入や設定、脆弱性診断やペネトレーションテスト、運用中の監視やインシデント対応など多岐にわたります。
そのため、情報セキュリティに関する幅広い知識や、日々進化するサイバー攻撃手法・最新動向の把握が不可欠です。
また、セキュリティエンジニアは技術的な対策だけでなく、セキュリティポリシーの策定や社内教育、法令遵守なども担当し、組織全体の安全性向上に貢献します。
クラウドエンジニア
クラウドエンジニアは、AWS、Azure、GCPなどのクラウドプラットフォームを活用し、クラウド環境におけるシステムの設計・構築・運用を担うエンジニアです。
従来の物理サーバーやネットワーク機器ではなく、仮想化されたリソースを用いてインフラを設計・構築し、システムが安定して動作するように保守・運用も行います。
クラウドエンジニアには、各クラウドサービスの特性や機能を理解し、最適なサービス選定や設計が求められます。
特に、システムのスケーラビリティ(拡張性)や可用性(安定稼働)を考慮した設計が重要です。
また、クラウド特有のセキュリティ対策や運用管理の知識も有していなければなりません。
クラウドエンジニアは、企業のITインフラのクラウド化を支え、コスト削減や柔軟なシステム運用を実現する重要な役割を担っています。
データベースエンジニア
データベースエンジニアは、企業や組織のデータベースシステムの設計・構築・運用・保守を専門に行うエンジニアです。
主な業務は、データベースの設計(どのようなデータを、どのような構造で保存するかを決める)、構築(実際にデータベースを作り上げる)、運用・保守(データのバックアップやアクセス権管理、パフォーマンスの最適化、障害対応など)です。
データベースエンジニアは、データの整合性(データが正確で一貫性が保たれていること)や可用性(必要なときにデータにアクセスできる状態)を確保することが重要な役割となります。
また、データベースの操作や管理には、SQLなどのデータベース言語の知識が不可欠であり、主要なデータベース製品(Oracle Database、Microsoft SQL Server、MySQLなど)についても理解していなければなりません。
ビッグデータ時代の現在、データベースエンジニアは膨大なデータの効率的な管理と活用を支える、システムの根幹を担う重要な存在です。
【マネジメント系】システムエンジニアの種類

上流工程のリーダー的役割であるマネジメント系システムエンジニアも、いくつかの業種に分類できます。
プロジェクトマネージャー(PM)
プロジェクトマネージャー(PM)は、システム開発プロジェクト全体の指揮・管理を行う責任者です。
プロジェクトの計画立案から始まり、スケジュールや予算の管理、進捗の把握、メンバーのアサインや育成、リスク管理、品質管理など多岐にわたる業務を担います。また、クライアントや関係部署との調整・交渉も重要な役割です。
プロジェクトを円滑に進め、目標を達成するためには、高いコミュニケーション能力やリーダーシップが欠かせません。
そのため、プロジェクトマネージャーには技術的な知識に加え、チーム全体をまとめる統率力や、問題発生時の対応力、関係者との信頼関係構築力が求められます。
システムエンジニアとしての現場経験を活かしながら、プロジェクト成功のために全体を見渡し、的確な判断と指示を行う中心的な存在です。
ブリッジSE
ブリッジSE(ブリッジシステムエンジニア)は、海外のオフショア開発チームと、日本のクライアントや開発チームの橋渡し役を担うエンジニアです。
主な業務としては、システムの仕様や要件を海外チームに正確に伝達し、進捗や品質の管理を行います。
また、文化や商習慣の違いによる誤解やトラブルを防ぐため、異文化理解や柔軟な対応力も求められます。
ブリッジSEには、英語などの語学力や高いコミュニケーション能力が不可欠です。技術的な知識に加えて、調整力や交渉力も重要なスキルとなります。グローバルな開発体制の中で、プロジェクトを円滑に進めるためのキーパーソンです。
【その他】システムエンジニアの種類

システムエンジニアには、その他にもいくつかの業種があります。どのような仕事があるのか、詳しく解説します。
セールスエンジニア
セールスエンジニアは、顧客に対して自社の製品やサービスを技術的な側面から説明・提案する役割を担うエンジニアです。
単なる営業担当とは異なり、顧客の課題やニーズを正確に把握し、それに対して最適な技術的ソリューションを提供します。
セールスエンジニアには、製品やサービスに関する深い技術知識はもちろん、顧客との信頼関係を築くためのコミュニケーション能力や、分かりやすく提案する力が求められます。
営業と技術の両方のスキルを活かして、顧客満足度の向上や新規案件の獲得に貢献する重要なポジションです。
社内SE
社内SEは、自社の情報システムやITインフラの運用・保守・改善を担当するエンジニアです。
主な業務は、業務システムや基幹システムの設計・構築・運用、システムの安定稼働を支えるための保守、IT資産やネットワークの管理など多岐にわたります。
また、社員からの問い合わせ対応やトラブルシューティングも重要な役割です。たとえば、パソコンや社内システムの操作方法に関する質問対応、ネットワーク障害やシステムトラブルの迅速な解決など、社内の「ITヘルプデスク」としての業務も担います。
社内SEには、幅広いIT知識(ハードウェア、ソフトウェア、ネットワーク、セキュリティなど)と、社内のさまざまな部署や外部ベンダーと円滑に連携するための高いコミュニケーション能力が求められます。
自社の業務プロセスや経営課題を理解し、最適なITソリューションを提案・実現することも期待される、企業のIT基盤を支える重要な存在です。
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この記事の寄稿者
システムエンジニア(SE)には、多彩なキャリアパスが存在します。
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- 北岡 優子