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回路設計とは? 設計の基礎知識や必要なスキル、資格について解説

回路設計とは? 設計の基礎知識や必要なスキル、資格について解説

身のまわりにあるあらゆる電子機器には回路が組み込まれています。

これらの機器が正しく動作するためには、電気の流れを設計する技術が重要で、その中心となるのが回路設計です。

本記事では、回路設計の基本的な役割や仕事内容、アナログ回路とデジタル回路の違い、求められるスキルについてわかりやすく解説します。

回路設計とは?

回路設計とは?

私たちの身のまわりにあるスマートフォンや家電、自動車など、さまざまな電子機器には回路が組み込まれています。

これらの機器類が正確に動作するためには、緻密な計算と設計に基づいた回路構成が必要です。

そこで重要な役割を担っているのが回路設計の仕事です。


回路設計の仕事

回路設計の仕事とは、電子機器が仕様どおりに安定して動作するように、電子部品の配置や配線を考え、電気の流れを設計する仕事です。

機器の性能、機能、安全性、コストといった要件をすべて踏まえたうえで、最適な回路構成を導き出す必要があります。


まずは製品に求められる機能や性能、予算といった要求仕様を理解することから始まり、それに見合った電子部品を選定し、最適な接続方法を設計します。

こうした作業は、製品全体の品質やコスト競争力にも直結するため、重要な工程です。


設計作業はCADツールを用いて回路図を作成し、続いてシミュレーションソフトを用いて回路が理論上正しく機能するかを確認します。

その後、試作品を使った実機評価を行い、必要に応じて修正や改良を加えるという流れで完成度を高めていきます。 


回路設計と電気設計の違い

回路設計と電気設計は、担当する範囲に違いがあります。


電気設計は、製品全体の電気の仕組みを考える仕事で、配線やスイッチ類、センサーの配置などを設計します。

一方、回路設計は、その中でも特に電子回路をどのようにつくるかに特化した仕事です。

さらに、回路設計はアナログ回路デジタル回路の2つに分かれています。


電気設計が全体の電気の流れを考える仕事なのに対して、回路設計はその一部分をより細かく担当する仕事です。

デジタル回路設計とアナログ回路設計の違い

デジタル回路設計とアナログ回路設計の違い

「デジタル回路」と「アナログ回路」は、それぞれが扱う信号の性質や、設計に必要な知識・技術が異なるため、仕事の進め方にも違いがあります。


デジタル回路設計

デジタル回路設計では、コンピュータなどが扱う「0」と「1」の2値で表現されるデジタル信号を処理する回路を設計します。

設計には論理演算、クロック制御、記憶領域の配置など、情報工学的な知識が必要とされるほか、デジタル回路設計が専門分野である場合でも、アナログ回路設計の知識が必要です。

また、論理的に正しい設計であっても、実際の動作環境ではタイミングや配線の影響を受けることがあるため、シミュレーションによる事前検証と試作による実機評価を慎重に行う必要があります。

大量生産を前提とする製品では、わずかな設計ミスが致命的なトラブルに繋がることもあるため、効率的かつ精密な設計が求められる分野です。


アナログ回路設計

アナログ回路設計は、音声や光、温度、電圧などの連続的な信号を扱う電子回路を設計する仕事です。

アナログ信号はノイズや外部環境の影響を受けやすいため、設計には繊細なバランス感覚と経験に基づいた調整力が求められます。

数値的なシミュレーションだけでは対応しきれないことも多く、実際の試作・評価を繰り返しながら最適な構成を探るという地道な作業が重要です。

また、デジタル回路との組み合わせも頻繁に行われるため、両者の特性を理解した上で回路全体の整合性を取るスキルも必要です。

回路設計のやりがいや魅力

回路設計のやりがいや魅力

回路設計は、電気や電子を自在に操ることで、製品の価値を生み出す役割を担い、その分やりがいも大きい分野です。


携わった製品が完成した際に達成感を得られる

回路設計の仕事の魅力のひとつは、自分が設計した回路が実際の製品として形になり、正常に動作した瞬間の達成感です。

紙や画面上で設計したものが、目に見える実物となって動き出すという体験は、技術者として大きな喜びに繋がります。

また、その製品が市場に出回り、実際に人々の生活を支えていることを知ると、社会への貢献を実感する場面も多くなります。

デジタル・アナログ問わず、自分の仕事が実生活に生かされていると感じられるのは、回路設計ならではのやりがいです。

技術を通じて社会に貢献できる

回路設計は、製品を裏側から支える技術でありながら、社会のさまざまな場面で必要とされる重要な役割を果たしています。

たとえば、アナログ回路設計では電源回路やセンサー類など、高精度なデータを扱う製品に多く用いられています。

一方、デジタル回路設計では、パソコンやスマートフォンの内部制御、デバイスなどに搭載され、私たちの暮らしを快適にする多くの技術の中核を担っています。

日常の利便性や安全性を高める製品に貢献できるという点で、社会的意義の高い仕事です。

さまざまな業界・分野で活躍できる

回路設計の技術は、電子機器が使われるあらゆる分野で求められており、活躍の場は広範囲にわたります。

製品の高性能化や省エネ化が進む中で、回路設計は今やどの業界にも欠かせない存在です。

なかでも代表的な例として挙げられるのが、自動車業界通信業界です。

自動車業界では、安全運転支援システムや電動化技術の進展にともない、精密なアナログ・デジタル回路設計が求められます。

また、通信業界では、スマートフォンや5G通信機器などの進化により、高速・大容量通信を支えるための高性能な回路設計が重要です。

需要や将来性が高い

IoTやAI、ロボティクスといった先端技術の普及にともない、電子機器の多機能化・高性能化が加速する中で、回路設計の需要は今後さらに高まると予想されています。

私たちの生活に欠かせないスマート家電やモバイル端末、電動車などの普及により、設計スキルを持つエンジニアの役割はますます重要です。


また、製品の小型化や低消費電力化が求められる場面も増えており、限られたスペースに最適な回路を収めるための高い設計技術力が必要とされています。

回路設計の仕事は経験を積むことで技術力が深化していく職種です。


▼回路設計エンジニアとしての将来性についてさらに詳しく知りたい方は、下記関連記事もあわせてご覧ください。

回路設計エンジニアの将来性が高い3つの理由|仕事内容や年収もあわせて解説

回路設計に必要な知識やスキル

回路設計に必要な知識やスキル

回路設計の仕事は、単に図面を描くだけではなく、高度な専門知識と幅広い技術スキルを必要とする奥深い分野です。

製品本来の機能や性能を引き出すために、理論的な知識と実践的なノウハウをバランスよく備えていることが求められます。

ここでは、回路設計の分野で活躍するために身につけておきたい代表的な知識とスキルを詳しく解説します。

電子回路や回路理論などに関する知識

回路設計に携わるためには、まず電子回路に関する基礎的な知識が必要です。

たとえば、オームの法則などの基本原理をはじめ、コンデンサやインダクタ、トランジスタといった個々の電子部品が持つ特性と役割を正しく理解することが求められます。

また、扱う信号の性質によってアナログ回路やデジタル回路に特化した知識が必要です。

アナログ回路では電圧や電流の連続変化に対応する設計が求められデジタル回路では「0」と「1」の論理信号を処理するための構成や制御手法が中心です。

基本的にはアナログかデジタルどちらかの専門エンジニアになることが多いですが、知識としては両輪が揃ってはじめて、精度の高い設計が可能になります。


電子回路を設計するためのCADの知識

現代の回路設計においては、CADツールの活用も重要です。

設計者は、電子部品を配置し配線を行う回路図をCAD上で作成し、それをもとに基板設計や製造工程へと進めていきます。

CADツールは設計効率を大きく向上させるだけでなく、エラーの自動検出や部品情報の一括管理など、品質確保にも役立つ機能を備えています。

使用するCADソフトは企業や業界によって異なるため、入社後に習得が必要なケースもありますが、基本的な操作方法や機能の理解は学生のうちから身につけておくとスムーズです。


設計に必要な論理的思考力

回路設計では、製品に求められる機能や性能、コスト、サイズといった複数の条件を満たすために、最適な構成を導き出す必要があります。

その際に求められるのが、筋道立てて物事を整理・判断する論理的思考力です。

設計段階では、どの電子部品を選定するか、どのように配置し接続するかを、複数の要素を考慮しながら総合的に判断する力が求められます。

また、設計後に不具合が発生した場合には、現象を分析し原因を特定しながら、適切な対策を検討する場面も多くあります。

このように、回路設計は論理的に考える力と、それを実現するための技術力の両方が必要です。

最新技術に関する情報の収集力や分析力

回路設計の分野は技術の進歩が早く、新しい電子部品や設計手法が次々と登場しています。

そのため、設計者自身が日頃から最新の技術動向をキャッチアップし、有用な情報をいち早く取り入れていく姿勢が重要です。

また、実際の業務に生かすためには、得られた情報を自社製品の方向性や市場ニーズと照らし合わせ、どう活用するかを判断する分析力も求められます。

情報を集めるだけで終わらず、それを自らの設計に生かせる力が、回路設計者の価値を大きく左右します。


情報収集に欠かせない外国語能力

回路設計に関わる最新の技術情報や電子部品のデータシートは、英語で提供されることが多くあります。

こうした技術文書を正確に読み解くためには、一定の英語読解力が必要です。

また、グローバルな展示会や技術カンファレンスに参加して世界の最新トレンドに触れたり、海外メーカーや取引先とやり取りをしたりする際にも、語学力は役立ちます。英語が堪能であれば、設計者として活躍できる場もさらに広げられます。

語学力は技術力と並んで、重要な要素です。

回路設計に活かせる資格

回路設計に活かせる資格

回路設計の分野では、実務経験を通じてスキルを高めることが基本とされていますが、客観的な知識や技術の証明として資格を取得することも大きな強みになります。

特に転職活動時や社内でのプロモーションの機会において、資格が有利に働く場面は少なくありません。

ここでは、回路設計に役立つ代表的な資格を、アナログ・デジタルそれぞれの領域で解説します。


EMC設計技術者資格【アナログ向け】

アナログ回路設計に携わる技術者にとって、ノイズ対策や電磁両立性への理解は重要です。

そうしたスキルを客観的に示せるのが、EMC設計技術者資格です。EMCとはElectromagnetic Compatibility(電磁両立性)の略で、電子機器が他の機器に影響を与えず、また外部の電磁波の影響を受けにくくするための設計力が問われます。

この資格を取得することで、ノイズフィルタやシールド技術などの専門知識を持っていることを証明でき、実務でも即戦力として高く評価される可能性があります。

なお、受験には実務経験5年以上などの条件があり、ある程度の経験を積んだ技術者向けの資格です。


情報処理技術者試験 【デジタル向け】

デジタル回路設計の分野では、論理回路やソフトウェアとの連携を意識した設計が求められることが多く、情報技術全般に関する知識があると、設計の幅が広がります。

その知識を体系的に学べるのが、IPAが実施する情報処理技術者試験です。

いくつかの種類があるなかでも、最初の受験に選ばれやすいのは基本情報技術者試験です。

ITの基本概念、アルゴリズム、ネットワーク、ハードウェア構造など幅広い分野を網羅しており、組み込み系のデジタル回路設計にも役立つ内容が含まれます。

文系出身でも取り組みやすい試験として人気があり、若手エンジニアのスキル証明としてもおすすめです。

エンベデッドシステムスペシャリスト試験 【デジタル+制御系アナログ向け】

より高度な組み込みシステムの設計に関わる場合には、IPAが実施するエンベデッドシステムスペシャリストの受験がおすすめです。

この試験は、リアルタイムOSやハードウェア制御など、IoT機器や車載制御システムに必要な知識が問われる国家試験です。

デジタル回路設計だけでなく、センサーやアナログ回路と連携する制御システム全体への理解も求められるため、回路設計の中でも特に組み込み分野に関心のある方には最適な資格です。合格難易度は高めですが、そのぶん技術力の証明として強い信頼を得られます。


CAD利用技術者試験【共通】

回路設計業務では、CADツールを使って回路図や基板レイアウトを作成する場面が日常的に発生します。

その操作スキルと設計図面に関する知識を証明できるのがCAD利用技術者試験です。

この試験は、CADの基本操作や製図に関する内容が問われます。アナログ・デジタルを問わず、設計エンジニアにとっては汎用的なスキルを証明する手段として役立ちます。

2次元CADから3次元CADまで対応しており、回路設計と並行して基板レイアウトや筐体設計なども手がける技術者には特におすすめです。

資格を取得しておくことで、CADツールを使用する作業の効率向上にもつながります。

回路設計エンジニアへの転職ならメイテックネクスト

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回路設計エンジニアの転職成功事例

<搬送装置メーカーから半導体装置メーカーへ>

搬送装置メーカー 電気設計 年収460万⇒半導体装置メーカー 電気設計 年収770万


転職者のコメント

社会人として働き始めて十数年、電気回路設計のエンジニアとして順調にキャリアを積んできましたが、年収面に不安があり転職を検討し始めました。面談で学生時代の経験まで思い出しながらお話する中で、転職で叶えたいことが年収改善だけではなく、『成長企業で自分の力を試したい』であることに気付くことができました。

希望に近い具体的な求人をご提案いただき、複数社に応募。面接対策や書類添削においてもスピーディー、かつ的確にご対応いただけ、非常に満足しております。結果的に、300万円近い年収アップ、かつ、自分の力を試すことができる大手企業から内定を得ることが出来、転職で実現したかったことを全て叶えることができました。


担当コンサルタント(藤田)からのコメント

転職時に条件面だけを見て転職を考えていらっしゃいましたが、面談で対話を深めていくうえで、自分にとっての大切なこと・やりたいことに気づいて頂けました。結果的には年収アップにも繋がり、当初の転職の目的も達成することができました。喜んで頂けて私も非常に印象深いご支援でした。

この記事の寄稿者

回路設計は、ものづくりに深く携わり、技術を通じて社会に貢献したい方にとって大きなやりがいのある分野です。培ってきた知見を土台に、最新技術と関連資格を継続的にアップデートし続ければ、キャリアの選択肢も活躍のフィールドもさらに広がります。

藤田睦貴
藤田睦貴

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